遺産分割の方法と手続きの仕方

遺産を相続する人が必ずしも1人とは限りません。男性であれば兄弟、妻子、養子など誰か1人を特定しない場合もあります。

例えば遺言書で、「遺産の相続人は妻である」などといった指定があれば、それに従って遺産相続の手続きが行われるでしょう。

しかし、実際の遺産相続はそれほど容易な問題ではありません。親族の数が多い場合や多大な財産が遺された場合など、遺産の相続をめぐって話し合わなければなりません。

複数の相続人が存在する時、当然ながら遺産を分配することになります。
つまり、遺産分割とは「遺産を分配する」ことを表した言葉です。

遺産を譲り渡す故人のことを被相続人と言いますが、被相続人が相続人を指定していない場合は話し合いにより遺産を分配することが認められています。また、遺言書に遺産の分配方法が指定されている場合には遺言に従って処理するのがルールです。まずは遺産相続の基礎となる遺産分割に関する手続きの方法や対処法について確認していきましょう。

遺産分割の手続き(遺言がある場合)

遺言による遺産分割は、遺言書に記された指定に従って遺産を分配します。故人である被相続人が5人兄弟の長男であっても「全ての財産を妻に相続する」と遺言すれば従わなくてはなりません。
また、妻に3割、子供に7割など、遺産の分配方法は被相続人の遺言で決定されます。

しかし、法的に認められない遺言書であれば「遺産分割の指定は無効」となってしまいます。
遺言書として認められるケースは以下のとおりです。

被相続人が自筆で遺言書を執筆している
他人が代筆した書面、ワープロやパソコンで書かれた書面は遺言書として認められません。必ず自筆でなければ法的効力を発揮しません。その際に必ず満たさなければならない要件が、「被相続人の氏名、作成日の記入、実印での押印」です。つまり、筆跡鑑定や実印の証明など家庭裁判所の検証を受けて公式に認められた書面が遺言書となります。
公正証書として認められた遺言書
公正証書とは公証人役場で公式に認められた法的効力を持つ書面です。要するに、公証人役場で認証された遺言書であれば法的な力を持った遺言書というわけです。この遺言書であれば家庭裁判所の検証を受けなくても「公正証書遺言」として認められます。

遺産分割の手続き(遺言書なし、話し合いによる分配)

段取り1 《遺産分割の協議について》
遺言書で相続人の指定が無い場合には遺産分割の協議を行います。協議とは話し合いのことです。ここで注意しなければならないルールが、「相続人全員が参加していない遺産分割の協議は無効」ということです。よって、遺産分割の協議は相続人全員が参加しなければ成立しません。
段取り2 《相続人の範囲とは?》
では、相続人とは誰を表すのでしょうか。これを解決するためには故人である被相続人の戸籍謄本を取得して相続人を確認する必要があります。法的に相続人として認められる範囲は次のとおりです。

その1…被相続人と婚姻関係にある人物(配偶者)
その2…被相続人と配偶者の子供、または孫
その3…被相続人の母親、父親
その4…被相続人の兄弟姉妹、またはその子供にあたる姪
段取り3 《相続人を確定する》
被相続人の戸籍謄本をもとに相続人を確定します。相続人全てが集まれば遺産分割の競技が開始できますが、万が一、相続人の該当者が行方不明になっていた場合には家庭裁判所へ手続きを行い許可してもらわなければなりません。また、相続人が未成年の場合には弁護士などの代理人を設けて協議することが法律で義務付けられています。
段取り4 《相続する財産を確定する》
相続人が決まれば次は相続する財産を決定しなければなりませんね。「誰がどの財産を相続するか」を協議します。これについても法律で定められた分配方法があります。

その1…配偶者と子供が相続人の場合 配偶者2分の1 : 子供2分の1
その2…配偶者と親が相続人の場合 配偶者3分の2 : 親3分の1
その3…配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 配偶者4分の3 : 兄弟姉妹4分の1

しかし、これは法律で定められた分配方法の一例であり基準です。実際には様々なケースが発生するでしょう。法律で分配方法が定められていても、配偶者、兄弟姉妹、弁護士などを交えて話し合いで相続の割合を決めるケースのほうが多いようです。
段取り5 《遺産分割協議書を作成する》
遺産の分配が確定すれば、相続人全員がその決定に賛成する必要があります。遺産分割の協議が無事に完了したことを証明するために「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書は、それぞれの相続人が自筆で氏名を記入し実印で押印、どの財産を相続するのかを記載したうえで成立する証書です。1通を作成するよりも相続人全員が1通ずつ保管するほうが望ましいです。

遺産分割の手続き(裁判による分配)

調停による遺産分割の協議も手段の一つです。

相続人と相続人の協議に家庭裁判所が介入することを調停と言いますが、相続人だけの話し合いで解決しない場合には仕方ない方法と言えるでしょう。法律に基づいて協議が行われるため手っ取り早い方法ではありますが、最終的な手段として考える人のほうが多いようです。

家庭裁判所への申請は遺産分割の協議に必要となる書類を集めて「申立て」することにより調停が開始されます。裁判所への申立書を作成して、被相続人の戸籍謄本や住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本や住民票を家庭裁判所に提出しなければなりません。また、分配する財産の目録、財産に土地や建物がある際には不動産の登記簿謄本や評価証明書が必要となってきます。

遺産分割の再協議は可能なのか?

再協議、つまりは「話し合いのやり直し」です。

一度は遺産分割の協議に合意したものの分配方法に納得がいかず再協議したい場合には、相続人全員の賛成を得ることができれば遺産分割の再協議が可能となります。
ですが、現実的にシビアな問題なのでスムーズにはいかないでしょう。このようなケースの場合、弁護士を仲介して再協議を試みる相続人が多く見受けられます。

遺産相続においていかなる場合においても必要となるのが遺産分割の協議です。そして、遺産分割協議書が重要な意味を示します。その後のトラブルを避けるためにも有効な協議を行うことが大切です。効率良く、スムーズに遺産分割の協議を行えるように一番良い方法を考えることが重要となってきます。

遺産相続について相談できる専門家を探す

遺産相続の悩みや問題をなくすため、ソーシャルメディアで共有をお願いします。

遺産相続の問題を解決してくれる専門家を絞込みで探す

■ お住まいの地域から探す

/ /

■ 相談したい内容から探す

地域を絞り込む
都道府県

ページトップへ