関東の遺産相続の専門家の数
遺産相続では、相続人の間で話し合いがまとまればあとは事務手続きだけ問題は解決します。しかし、遺言書が無かったり、遺言が特定の誰かが利益が大きい内容だった場合など紛争になるケースが出てきます。こうなると、法律、相続問題の知識を持って紛争介入の職業権限を持つ弁護士が仲裁に入らないと問題解決できなくなります。
また、不動産を相続したものの名義変更手続きという複雑な事務作業をおこなう際にも素人では対応できないため、名義変更手続きを独占業務として扱う司法書士の力が必要になります。これらの専門家とは日常生活ではあまり接触が無い人がほとんどだと思います。
実際に弁護士、司法書士が関東にはどれぐらいの数がいるのか調べてみました。それぞれの専門家の相続業務の役割についても解説しましたので、遺産相続の手続きが迫っている方はご参照下さい。
関東の弁護士の数
関東には東京以外の県にはそれぞれ弁護士会があり、その地域で活動する弁護士が弁護士会に所属しています。東京だけは、弁護士会の出自が違うため3つの弁護士会に分かれています。日弁連の2015年のデータによると関東の弁護士の数を合計すると20597人の弁護士がおり全国の56.6%と大半を占めています。
これは当然の事ながら、東京、横浜など大都市があるためですが、千葉、埼玉など首都圏も人口が多いため比例して弁護士数も多くなっています。一方で、栃木、群馬、茨城は中心都市を除いては弁護士の数は決して多いとは言えません。
東京弁護士会 7478人(1433人)
第一東京弁護士会 4576人(890人)
第二東京弁護士会 4840人(1003人)
神奈川県弁護士会 1490人(283人)
埼玉弁護士会 754人(139人)
千葉県弁護士会 717人(128人)
茨城県弁護士会 261人(48人)
栃木県弁護士会 209人(33人)
群馬県弁護士会 272人(34人)*カッコ内は女性弁護士の数
遺産相続では、東京、横浜など都市部の富裕層が多く住む地域などは相続の金額も桁外れで数十億単位の遺産相続が発生するケースもあります。そうなると、遺産分割も複雑でスムーズに解決することは稀です。
相続人の間の遺産相続トラブルが発生すると、それを解決するためには弁護士の力が必要になります。弁護士ならば、法律に則って遺産相続の利害関係を調整したり交渉する代理人となることができます。(他の士業は紛争介入はできません)
また、事前に相続トラブルになることが分かっているケースでは生前からの遺言書作成、遺言執行など被相続人の代理人として契約することもできます。複雑な家族構成などの場合には相続に強い弁護士に早めに相談して来るべき日に備えたいものです。
関東の司法書士の数
関東には司法書士は7519人います。司法書士は全国に22007人いますので、関東では約34%の割合と全国的に最も数多くの司法書士がいます。(2016年5月日本司法書士会連合会)しかし、司法書士は債務整理、会社登記手続きなどの業務を中心に対応している事務所も多く、遺産相続の専門家はまだ少ないのが現状です。ただし、今後は相続案件の増加に伴い気軽に相談できる法律家として相談需要は増えるものと考えられます。
東京司法書士会 3954人
神奈川県司法書士会 1130人
埼玉司法書士会 858人
千葉司法書士会 720人
茨城司法書士会 327人
栃木県司法書士会 232人
群馬司法書士会 298人
司法書士の主な業務は法律的な知識をもとにした、登記、供託などの業務です。また、認定司法書士は簡易裁判所において代理業務をおこなうこともできます。司法書士の業務を大きく変えたのが、2003年の法改正です。ここで、司法書士は140万円以下の債権額に限り債務整理の案件を扱えるようになりました。
過払い金事案の増加に伴い、債務整理を専門に扱う司法書士事務所が大きく増えました。そのため、本来の認定業務である登記の代理などを扱う事務所は少数派となりました。しかし、債務整理案件が少なくなるにつれて相続業務に力を入れる事務所が増えています。
遺産相続では、親からの不動産の移転という名義変更手続きが必要になるため、この業務と合わせて相続をトータルサポートする事務所が出てきています。ですので、司法書士イコール相続業務にすべて対応できるという訳ではありません。同じ法律家と言っても弁護士と違い紛争介入はできませんし業務も限定的です。
該当する司法書士がどこまで対応できるか見極めも重要になります。