中部・甲信越の遺産相続の専門家の数
遺産相続で避けるべきは、できるだけ相続トラブルを少なくすることです。遺産を巡って家族の間で争族が長期化するケースが見られますが、親兄弟に対して憎しみの気持ちしか生まれず、精神的にも消耗することになります。
また、紛争が長引けばそれだけ弁護士費用、訴訟費用が余計にかかる事にもなります。相続で失敗しないためには事前の準備が必要で、もしそれができないまま遺産相続が発生したら、早めに信用できる専門家に相談することが何より大切です。
そこで、中部、甲信越地方には相続の専門家である、弁護士、司法書士がどれぐらいの数いるのか調べてみました。お住まいの地域にどれ位の士業がいるのか参考までにご参照下さい。
中部の弁護士の数
中部地方には各県それぞれに弁護士会があり、その地域で活動する弁護士が所属しています。日弁連の2015年のデータによると中部地方には2580人の弁護士がおり全国の7%がいます。
人口1万人あたりの弁護士数で見ると、愛知は2.93人とこの地域では突出しており、静岡は1.17人と人口や面積の広さに対して以外に少ないという数字が出ています。三重県は0.93、岐阜県は0.91と弁護士過疎地域と言っていいでしょう。ただし、この2県は地理的に愛知県(名古屋)に近いため、名古屋の弁護士に依頼するケースも多いと思われます。
愛知県弁護士会 1783人(334人)
三重弁護士会 178人(29人)
岐阜県弁護士会 186人(34人)
静岡県弁護士会 433人(82人) *カッコ内は女性弁護士の数
中部地域は愛知県を除き、人口に対して弁護士の数は決して多くありません。その中で遺産相続に強い弁護士を探すのは簡単ではありません。弁護士の中には相続業務において他県にまたがり広範な地域に対応している事務所もあります。そのような専門家に依頼するのも一つの方法です。
甲信越の弁護士の数
日弁連の2015年のデータによると中部地方には993人の弁護士がおり全国の約2.7%がこの地域で活動しています。人口1万人あたりで見ると石川県が1.44、山梨県が1.4と全国平均よりやや多く弁護士がいますが、その他の県は平均的な数字となっています。
山梨県弁護士会 118人(15人)
長野県弁護士会 235人(41人)
新潟県弁護士会 261人(35人)
福井県弁護士会 102人(13人)
金沢弁護士会 167人(28人)
富山県弁護士会 110人(11人)*カッコ内は女性弁護士の数
弁護士の業務範囲は広く、法人向けの企業法務を中心に対応する事務所もあれば、個人向けの業務に特化した事務所もあります。大手の法律事務所の場合には総合法律ということであらゆる法律相談が可能な事務所もありますが、地方の場合には中小事務所の割合が圧倒的に多く、それぞれ専門分野を中心に法律サービスを提供している事務所が多く見られます。
中には遺産相続に詳しくない、対応できない法律事務所もあるので注意が必要です。相続は幅広い知識が必要な業務ですので専門家選びが重要です。
中部の司法書士の数
中国地方の司法書士の数は2375人です。司法書士は全国に22007人いますので、全国の約10.7%の司法書士が中国地方にいます。(2016年5月日本司法書士会連合会)
愛知県司法書士会 1278人
静岡県司法書士会 489人
三重県司法書士会 260人
岐阜県司法書士会 348人
司法書士は遺産相続では、家や土地など不動産名義変更手続きを独占業務として国から許可されています。遺産相続では、不動産の名義変更が発生するケースも多く、近年では相続業務に力を入れる司法書士も増加しています。
中部地方でも愛知県を中心に司法書士の数は多いですが、必ずしも相続の専門家ばかりではありません。債務整理しか詳しくない司法書士もかなりな割合で存在しますので、司法書士に相談する際には何をどこまで相続業務で対応してくれるのか見極めが必要です。
甲信越の司法書士の数
甲信越の司法書士の総数は1278人です。全国の司法書士の約5.8%ですので決して多くはありません。特に山梨、福井などは司法書士の過疎地域と言ってよいほどです。
山梨県司法書士会 133人
長野県司法書士会 370人
新潟県司法書士会 292人
福井県司法書士会 121人
石川県司法書士会 201人
富山県司法書士会 161人
司法書士は一般の人にとって馴染みが少ない士業ですが、法律の専門家として弁護士ほど対応できる範囲は多くありませんが一定条件の中で法律サポートが許されています。
相続業務では、不動産名義変更手続き、会社名義変更(会社を相続する場合)、相続人調査、相続放棄手続き、遺言書作成、遺留分減殺請求の代理人(140万円以内)などが挙げられます。相続のニーズは高まっているため、これまで債務整理中心だった司法書士の中には遺産相続の業務を強化する事務所も増えています。
ただし、前述したように司法書士の相続における専任業務は限定的です。事案によっては、弁護士、税理士に直接依頼した方が費用的にも効率的なケースもありますので、司法書士が何をどこまで対応してくれるのか確認の上、相続案件を進めていくことが必要です。