近畿の遺産相続の専門家の数
遺産相続でもっとも難しい問題は相続人となった家族の間で起こる争続です。親の死亡後に遺産分割の際に揉めるケースもあれば、生前から親の遺産を独り占めにしようとする兄弟が出てきたりすることもあります。
遺産相続では高額な遺産を巡ってのトラブルが多いと思われがちですが、少額な遺産争いも絶えません。遺産相続で家族だけで解決できないと感じたら、裁判所での調停・訴訟などを検討する方も多いと思いますが、迅速な解決を求めるなら弁護士への相談が近道です。
また、相続財産に不動産がある場合には名義変更が発生しますので司法書士への相談が適切です。
普段馴染みがないこれらの相続の専門家ですが、実際に弁護士、司法書士は近畿地方にはどれぐらいの数がいるのか調べてみました。それぞれの専門家の相続業務の役割についても合わせて解説しますのでご参照下さい。
近畿の弁護士の数
近畿地方には府県それぞれに弁護士会があり、その地域で活動する弁護士は弁護士会に所属しています。日弁連の2015年のデータによると近畿地方には6220人の弁護士がおり全国の17%となっています。
人口1万人あたりの弁護士数で見ても、大阪は4.78人、京都は2.66人と東京に次いで2番目、3番目と高い数値です。それだけ、弁護士へ相談する個人・法人のトラブル需要が多い地域ということが言えます。
大阪弁護士会 4225人(722人)
京都弁護士会 695人(140人)
兵庫県弁護士会 849人(175人)
奈良弁護士会 167人(29人)
滋賀弁護士会 142人(31人)
和歌山弁護士会 142人(18人)*カッコ内は女性弁護士の数
相続では、親から子供へ財産が移転する遺産相続と親が企業家や個人事業主で会社の資産をどのように処理する事業継承という2つのケースがあります。近畿地方では、大阪、神戸、京都な資産家が多い地域があり大きな遺産相続が毎年発生していますが、それとともに裕福な個人事業主や中小企業も多い地域ですので、事業継承の案件も同じように見られます。
資産がある家庭は親の死後に何かとトラブルが発生しますので、弁護士に相談して早めの対策が必要です。その際には、弁護士なら誰でも良いわけではありません。遺産相続業務に詳しい弁護士でなければ迅速で適切な解決は望めませんので、まずは何人かの専門家と話して決めるのが良いでしょう。
近畿の司法書士の数
近畿地方の司法書士の数は4589人です。司法書士は全国に22007人いますので、近畿では全国の約20%と数多くの司法書士がいます。(2016年5月日本司法書士会連合会)
司法書士の主な業務は、登記、供託などの代理業務です。また2003年以降は法改正により、債務整理の業務にも条件付き(債権額140万円以下)で対応できるようになりました。借金案件のトラブルが多い大阪、京都、神戸などの地域では、登記業務はほとんどおこなわず債務整理専門の司法書士事務所も増加しました。そのため、遺産相続の案件を司法書士に相談する際には相続業務に精通しているかを事前に確認の上、依頼する必要があります。
大阪司法書士会 2361人
京都司法書士会 574人
兵庫県司法書士会 1042人
奈良県司法書士会 220人
滋賀県司法書士会 225人
和歌山県司法書士会 167人
司法書士は弁護士以上に馴染みが少ない士業ではないでしょうか。法律業務を扱う専門家であることは何となく分かりますが具体的な仕事までは結びつきにくい業態です。司法書士は、前述のように登記、供託、債務整理の3つを扱う専門家です。遺産相続の場合には、不動産の所有移転で発生する名義変更手続きの部分を担います。
最近では、相続ニーズの高まりにより名義変更とそれに付帯する相続業務のサポート・コンサルティング業務をおこなう事務所も増えてきました。ただし、独占業務としては名義変更手続きのみですので、争続の紛争相談の場合には弁護士、生前贈与や相続税の申告なら税理士に相談するのが効率的と言えます。