遺産分割協議と遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議と遺産分割協議書

日本では被相続人が死亡したときに遺言状があるケースはまだ少数派です。
遺言状がないと被相続人の意思が分からないため、相続人同士で相談して遺産の配分を考えることになります。
この話し合いを遺産分割協議といいます。

話し合いがまとまりさえすれば、遺産はどのように分割しても良いことになっています。
協議した内容は遺産分割協議書に作成すると、協議内容の証拠となります。

遺産分割協議は多数決ではなく、全員の意思の合致が必要

遺言がない場合は相続人による話し合いで遺産分割を決めていきます。

遺産分割協議は、相続開始後であればいつでも行うことができます。
したがって、相続人が全員集まるか、書面、持ち回りにて決定することも可能です。

協議は相続人全員の意思が合致すると成立します。
多数決ではないため、頑固な反対者がいると時間がかかることがあります。

未成年や認知症の者がいる場合

全ての相続人が参加しないと協議が無効になるため、婚外子や隠し子がいる場合は忘れては行けません。
未成年者がいるのであれば、法定代理人が代わりに法律行為をすることになります。
親権者(親)または家庭裁判所に特別代理人を専任してもらいます。

認知症や精神的障害、知的障害があり、判断が行えない者がいる場合は成年後見人が協議に参加することになります。
成年後見人とは判断能力が不充分な者を法律的に保護し、支える人です。
成年後見人を選ぶには、住所地を管轄する家庭裁判所にて申立を行います。

遺産分割協議が無効となる場合

遺産分割協議は全ての相続人の意思が反映されている必要があります。
相続人が抜けていたり、相続人でない者が参加したりした協議は無効となります。

また、重要な遺産が漏れている場合も錯誤による分割協議になってしまい、無効とされることがあります。

遺産分割協議書は協議内容の法的証拠になる

全員で協議をし、成立したら遺産分割協議書を作成します。
一度作成した遺産分割協議書は基本的にはやり直しができません。
そのため、納得ができるまで話し合うことが肝心です。
遺産分割協議書は必ず作成しなくてはいけないわけではありません。

しかし、後で協議内容について紛争が起きた場合には証拠となります。
また、相続による不動産の所有権を移転登記する場合、添付書類として提出する必要があります。

形式や書式に特に決まったルールはない

遺産分割協議書に定められた書式はありません。
縦書き・横書き、手書き・パソコンでの作成のどちらでも不問です。
ただし、トラブルを防ぐために相続人の住所と氏名は手書きにしましょう。

署名は自筆で各自が行い、押印は実印となります。題名は「遺産分割協議書」が良いでしょう。
被相続人の名、死亡日、協議した相続人は明記します。

遺産分割協議書の書式例

遺 産 分 割 協 議 書

平成□□年○月△日何某の死亡により、共同相続人甲・乙・丙は、その相続財産について、次の通り遺産分割の協議をした。

第一、相続財産中、東京都A区B町C丁目、地番1番地23、宅地、地積450.5㎡は甲の所有とすること。

第二、相続財産中、東京都X区Y町Z丁目1番地2、家屋番号1番2、木造瓦葺平家建居宅床面積90.1㎡の建物および何局第何番の電話加入権一口は、乙の所有とすること。

第三、相続財産中、株式会社イロハ銀行の定期預金一口合計金何万円およびアイウ株式会社の株式何下部(株券番号)は丙の所有とすること。

第四、甲は丙に対して、別に何万円を贈与することを約した。

第五、本協議書に記載のない遺産および後日判明した遺産については、相続人丙がこれを取得する。

以上の協議の真正を証するため、この協議書三通を作成して、署名押印し、各自一通宛保有する。

平成□□年◎月▽日

(甲の住所)
(甲の氏名) 印
(乙の住所)
 (乙の氏名) 印
(丙の氏名)
(丙の氏名) 印

遺産分割協議書を作成する際の注意点

不動産は、登記簿謄本に記載されている通りに

不動産の住所等は普段の書き慣れているとおりに書きたくなるかも知れません。

しかし、ここでは登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている通りに書きます。
間違いがあると、法務局で名義変更の手続が受けられないことがあるためです。

また、預貯金や株式などの遺産はできるだけ特定できるように記載します。

代償分割の支払いがある場合は、期限も記載すること

土地をもらう代わりに、他の相続人にお金を払う代償相続という手段があります。
これを行えば、土地を細分化して相続人で分け合うのではなく、1人で土地を相続することもできます。
その場合は代償金額を支払う期限を明記しておきましょう。

遺産分割協議は10か月以内に終わらせることが理想

遺産分割協議は期限がないため、ゆっくりと話し合うことができます。
土地の分割が決まらないからと言って、国に没収されたり、所有権が消滅したりすることはありません。
遺産分割協議が終わるまでは、財産は相続人による共有のものとなっています。

一方で、相続税の支払いは相続開始から10か月以内に行わなくてはいけません。
優遇措置を受けるのであれば、この期限までに財産の分割が済んでいることが理想です。
10か月に間に合わない場合は、法定相続分で遺産を分割したと仮定して、その分に対しての相続税を各人が支払うことになります。

そのため、人によっては遺産分割協議を終わらせておいた方が、相続分が少なくなり、支払う税金も少なく済む場合もあるでしょう。

期限がないとは言え、早めに協議を成立させ、納税を済ませるに越したことはないと言えます。

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