
専門家。その分野において知識、経験に優れたプロフェッショナルのことを言います。では、遺産相続の専門家とは誰を示すのでしょうか。
遺産相続で対処しなければならないカテゴリーを分けてみると、専門的な要素が盛り込まれた項目ばかりです。
自分自身で処理することも可能かもしれませんが遺産相続は的確な判断と専門的な知識、周到な計画を組み立てて最善の策を用いて対処しなければなりません。
もっと具体的に言うと、手続きに関する書類を集めたりルールに基づいた様式で書類を作成したり、税金の細かな計算をしたりと実務的な処理が必要となります。
また、遺産を相続するにあたって「何が一番良い方法」で「どんな手段で問題を解決するのか」など、最善の選択を迫られる状況にも対応しなければならなくなります。
そういったことを踏まえたうえで遺産相続の専門家を導き出すとするならば、司法書士、行政書士、税理士が適任と言えるのではないでしょうか。
分野による専門性の違い
一言で遺産相続と言っても、カテゴリーは様々で分野も幅広くなってきます。
遺産分割の協議や裁判など、法律が伴う要素があれば弁護士が考えられますし、相続税の手続きや申告などの場合、税理士が考えられます。相続した土地や建物などの不動産に関する登記や手続きでしたら行政書士が専門家と言えるでしょう。
しかし、なかには全ての分野においてプロフェッショナルな法律事務所も存在しています。どの専門家に相談すれば良いのかを選択するべきか、まずは遺産相続における大まかなカテゴリーを復習してみましょう。
■遺産相続の手続きにおけるカテゴリー
遺言書の作成 |
被相続人の意思に従って公正証書遺言を作成 |
遺産相続の調査 |
被相続人の借金問題や相続する財産についての調査 |
遺産分割の協議 |
相続争いを避けるための話し合いや裁判、書類作成 |
不動産の登記 |
相続した土地や建物の登録手続き、書類作成 |
相続税の申告 |
相続税や各種税金の割り出し、手続きや申告 |
相続税の節税対策 |
相続税を削減するための方法を実行するための準備、判断 |
相続に関する問題 |
相続放棄や限定承認、単純承認などの判断、手続き |
必要書類の収集 |
被相続人、相続人の戸籍謄本や住民票、土地の登記簿など |
- ■各専門家の役割
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弁護士の役割
行政書士の役割
司法書士の役割
税理士の役割
専門家の選択について
遺産相続に直面したとき、対処しなければならないカテゴリーは様々です。余程の知識と経験が無ければ自分一人で処理することは難しいでしょう。
また、思いがけないトラブルが発生した時には的確な判断と早急の対処法が重要となってきます。では、そのような事態を回避するためにも「誰に相談すれば良いのか」ということがポイントとなってきますよね。つまり、遺産相続における専門家の選択です。
相続税は税金の問題だから税理士に、不動産の登記は行政書士に、と考えるのが当然です。
しかし、必ずしも相続に関するプロフェッショナルだとは限りません。不動産の登記に詳しい行政書士でも遺産相続となれば通常の処理とは異なります。税金のプロが税理士でも、相続税の節税や削減を快く思わない方もいるでしょう。
要するに、ただ単に専門家であれば良いというわけでもないのです。では、専門的な分野の他にどんな要素を考慮して専門家を選択すれば良いのでしょうか。
「人と人とのやり取り」であるということ
遺産相続におけるプロフェッショナルといえども、結局は人間です。そして、専門家に依頼する相続人も一人の人間です。専門的な分野に関する知識や経験はもちろん重要ですが、人と人とのやり取りで大切にしなければならない要素が「相性」と「信頼」です。
つまり、相談する側も相談される側も相性に不満を感じ、信頼に欠ける人物だと思ってしまえば上手くいくものもそうではなくなるということです。
遺産相続で最良の結果を導き出すためには相談する側と相談される側の関係性が良好でなくてはなりません。親身になって相談にのってくれる専門家であれば分野を問わず最善の処理を施すよう力を尽くすでしょう。もし、適当に処理する専門家であれば説明もそこそこでマニュアル通りの対応しか望むことができません。その結果、「こんな方法なら誰でも良かった」ということになってしまいます。
専門家の賢い選び方
そういった不安要素を回避するためにも遺産相続に関する悩みや依頼を相談する専門家選びは慎重にならなくてはいけないのです。
そのためには、専門家が専属(勤務)している事務所選びを慎重に行うことです。法律事務所、弁護士事務所、行政書士事務所、税理士事務所など、様々な専門分野における事務所が存在しています。遺産相続は法律的な要素が盛りだくさんの問題です。法律のプロと言えば司法書士(弁護士)が思いつきますね。
まずは、法律事務所に相談してみて司法書士(弁護士)との相性を確かめてみるのも良いかもしれません。そのうえで専門的な知識や経験の確認、どの範囲まで対応してくれるのかなどをリサーチして信頼関係を築ける仲なのかを冷静に判断することが大切です。親身に相談を聞く姿勢、また、処理についての説明をきちんと施してくれる良心的な専門家であれば実務的な処理も最善を尽くすことでしょう。最終的な決め言葉はこれです。
『結局のところ、遺産相続の問題を解決するにはどこに相談したら良いですか?』
この言葉を聞けば、相手も「ここからここまでは私が処理します」「この処理については行政書士にお願いしてみてはいかがでしょうか」「可能な限り私が全て引き受けます」など、何かしらの反応を見せるでしょう。
そのアドバイスを参考に賢い事務所選びを心がければ、遺産相続における問題もスムーズに解決する兆しとなります。自分の意思を伝えて相手の意見を受け入れることでより良い解決策を導き出すことが大切なのです。
