相続人が存在しない場合
近年の日本は少子高齢化に拍車がかかる一方です。
それに加えて、配偶者や子供もおらず、一人暮らしで老後をすごす「独居老人」という言葉もよく聞くようになりました。
独り身ということで、老後の為にコツコツ貯蓄をされてきた方も多いはずです。
もし、被相続人が亡くなった場合には財産はどうなるのでしょうか。
相続人がいない場合の遺産相続の流れ
被相続人に法定相続人がいなかった場合には、次の流れで財産の行き場所が決まります。
- 1.相続財産管理人選任の申立
被相続人となる家族や親族がまったくいない場合には、その遺産は家庭裁判所が預かる事になります。
家庭裁判所が相続財産管理人を選任して厳重な管理体制で遺産を保全します。
通常、相続財産管理人には弁護士、司法書士が選ばれます。
- 2.相続財産管理人選任
相続財産管理人が選任されたことを官報で公告をおこないます。
公告期間は、2ヶ月になります。
- 3.相続債権者受遺者の請求申出の催告
相続財産管理人は、債権者や受遺者がいたら申し出るように、官報などに公告を出して「相続債権者受遺者の請求申出の催告」をおこないます。
公告期間は、2ヶ月以上になります。
- 4.相続人捜索の公告
相続人がいた場合には、申し出るように相続人捜索の公告をおこないます。
公告期間は、6ヶ月以上になります。
- 5.特別縁故者の財産分与の請求
もし、公告期間中に相続人が現れなければ、家庭裁判所で相続人不存在が確定されます。
被相続人の財産や借金を清算し、残った遺産は国庫に帰属されることになります。
法定相続人以外が遺産を相続するケース
法定相続人が存在しない場合は、特別縁故者に相続が認められることがあります。
特別縁故者の申立ては相続人不存在が確定してから3ヶ月以内です。
特別縁故者として認められるのは、内縁の妻や遺産を残した人の面倒を見ていた人などです。
その際、内縁の妻は生計を同じくしていた事実が必要になりますし、さらに、被相続人の面倒や看護をおこなっていたなどの実績が必要です。
多少付き合いがあっただけや、生前仲が良かっただけでは特別縁故者として認められません。
この法制度は被相続人が生前に深い付き合いが無かった人物に遺産が相続されないよう配慮されています。
法定相続人がいなくても遺言書を書いておく
相続人や特別縁故者の対象になる人がいない場合には、財産はそのまま国庫に納められることになります。
もし、団体への寄付や生前良くしてもらった人に財産を分けたいと考えている場合には、遺言書を書いておきましょう。
遺言書を書くことにより、第三者へ財産を遺贈(遺言による贈与)することができます。
- 法定相続人がいない場合のポイント
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法定相続人が全くいなければ、特別縁故者への相続が認められるケースがあります。
但し、この特別縁故者の立証は非常に難しいと言われています。
もし、貴方がこれに該当するようであれば弁護士など法律家へ依頼の上、相続人としての主張をおこなうことをお勧めします。
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