生命保険を活用する相続税の対策方法。その効果はどれくらい?

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いざ、遺産相続する際に最も気になるのは相続税の金額ではないでしょうか。

事前に節税準備をする事により、相続リッチになるか相続貧乏になるかが大きく分かれます。ここでは「生命保険」を活用した得する節税に関して解説します。

相続税、納税対策を考える

故人から遺産を相続した場合、相続人はその税金を納めなければなりません。相続税の納税対策として「生前贈与」や「相続人を増やす」など一般的ですが、他にも“生命保険”を活用しての納税対策が考えられます。

相続税を納める際に心配される点は、納税するための“現預金”が足りなくなることです。受け継いだ遺産は必ずしも現金や預金ばかりとは限りません。マンションや土地といったケースもあります。不動産はすぐに現金化できるものではありませんので、納税は“自分の預貯金”から支払わなくてはならなくなります。

相続税が払えずに破産するという笑えないケースも実はよくあるのです。

つまり、相続した財産の一部から相続税が支払えなければ、“納税するための資金”を自分で工面する必要があるということ。そういった万が一の事態に備えるため、生命保険の活用性について考えてみましょう。

生命保険の契約内容

保険金の設定

最もシンプルな方法で、「支払われる保険金で納税資金を確保する」といった方法があります。生前に“大よその相続税”を割り出しておき、それに合わせて保険金を設定します。

受取人の設定

ほとんどの方が配偶者を受取人に設定しますが、納税対策としては他の方法が考えられます。相続税において、配偶者には特別控除(配偶者控除)が設けられているので、相続税の大幅な免除(控除)が期待できます。

心配するべきは“子供”の納税対策。保険金の受取人を子供に設定しておけば、子供が納税資金を確保できます。

なぜ子供に設定すべきか?

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納税するときの注意点は、子供に代わって配偶者が支払うケース。配偶者が受け取った保険金で子供の相続税を負担してしまうと「贈与税」が発生します。理由はどうあれ負担した時点で、“配偶者から子供へ現金を贈与”したことになり贈与税の課税対象となるのです。

贈与税は相続税よりも税率が高いため賢い選択とは言えません。子供の相続税を安易に負担するのは禁物。はじめから保険金の受取人を子供に設定しておくことで、そのようなリスクを事前に回避できます。

【参考】配偶者の特別控除 金融庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4158.htm
【参考】贈与税の計算 金融庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm

生命保険に加入(契約)するタイミング

ベストと言える加入時期は、本人(被相続人)が健康な状態。年齢が増すにつれて“掛け金(毎月支払う保険料)”の設定が高くなるため、健康な身体で若いうちに加入するのがベストです。

高齢で生命保険に加入するケースでは、「生前贈与」を利用して“子供自身が生命保険に加入”したほうが得策です。これは、毎月の保険料を子供に代わって本人(被相続人)が負担してあげる方法です。

年間110万円までの贈与には贈与税が発生しないため、その原理を使った「生命保険による相続税の納税対策」となります。(贈与税の基礎控除)

ここで注意したいのが、通常通りの契約とは“異なる方法”で契約するということ。普通であれば子供自身が契約したわけですから「契約者=被保険者」となります。しかし、今回のケースでは、契約者は子供ですが「被保険者には被相続人を設定」しなければ意味がありません。

支払われる保険金を納税資金として確保するのが前提となりますので、子供を契約者にしては意味がないのです。受取人は契約者である子供、被保険者には被相続人を設定する必要があります。

生前贈与を利用した生命保険の活用 まとめ

  • 「被保険者に被相続人を設定した生命保険」に保険金の受取人が加入(契約)する
  • 毎月の保険料は被相続人が負担する。※年間110万円までの贈与税(基礎控除)を利用
  • 被保険者(被相続人)が亡くなると、受取人に保険金が支払われる
  • 支払われた保険金で納税資金が確保できる

生命保険に対する課税

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もちろんですが、(生命)保険金も課税対象になります。500万円の基礎控除を省いた受取額に対して相続税が発生します。

上記の例(生前贈与を利用した生命保険の活用)では、支払われた保険金は“相続税ではなく所得税の対象”となります。

【参考】死亡保険金に相続税がかかる場合の具体例 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/succession/11.html

また、簡易保険の特約還付金は相続税がかかる事がありますので注意しましょう。

生命保険を活用した相続税の納税対策 まとめ

そのほかにも生命保険を利用して財産の評価額を減らしたり、相続人を増やしたりするなど“細かな技”がいくつかあります。

また、受取人が相続人に設定されている生命保険については“産分割の対象外”です。無駄な相続争いを避けるための手段としても有効な手段と言えるでしょう。

生命保険で納税対策するときのポイント

  • 保険金の設定金額
  • 受取人を誰にすべきか?
  • 贈与税が発生してしまう納税方法は好ましくない
  • 加入タイミングを考える
  • 生前贈与を利用した生命保険の活用
  • 保険金に対する課税と基礎控除
  • 相続人が受取人の保険金は遺産分割の対象外

相続税納税対策のまとめ

いざ、親が亡くなって相続する段階になって、その相続税の金額の高さを見て愕然とする人は少なくありません。
相続というものはもはや親から子への資産の移転という問題だけではなく、残された子供が相続により経済的に苦境に立つ事が無いかまで考えて挙げなくてはならないものになりました。

事前に節税対策を検討しておかないと、時すでに遅しになりかねません。

相続税を誰に相談するかですが、生命保険ならファイナンシャルプランナー(FP)、不動産査定なら土地家屋調査士、登記移転なら司法書士など、各々専門分野が分かれます。

しかし、大きい括りで相続税を相談した場合には、これは税理士が最も適切です。遺産相続に強い税理士なら、それぞれの分野の専門家との連携をしていますので、節税対策から申告までワンストップで対応してくれます。

2015年の税制改正により相続税の最高税率は55%になります。いざという時のために、備えておいてはいかがでしょうか?

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