親・兄弟と不仲な人は必読!親子の縁を切られた子供に相続権はあるのか?

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親子の縁は切っても切れない?今の日本の法律には勘当というモノはない

親子と言っても大人になると考え方や価値観の相違は起きるものです。
「出て行け! お前とはもう縁を切る! 勘当だ!」と親父が叫んで、子供を叩き出すというシチュエーションは、今でもドラマや映画見かけます。

またそこまでドラマティックではなくても、様々な諍いにより親子の間で音信普通になっているケースは実際にたくさんあります。

このような親からの“勘当”ですが、昔の日本の法律だと養子離縁(裁判離縁)とか、夫婦の子供だったと思っていたら実の子ではなかった(嫡出否認)といった場合を除いて、そう簡単には法律的に親子の縁を切ることが出来なくなっています。

唯一、「相続廃除」という手続きをとれば、ほぼ完全に親子の縁を切ることができますが、この相続廃除の申立てを家庭裁判所にしても審査は非常に厳しく、本当に手のつけられない極道息子(娘)でない限り、認められない事が多くなっています。

こじれた親子関係が問題になる遺産相続

まぁ、リアル社会では、そこまでこじれた親子の場合、お互いに別の場所に住んで、各々好きに暮らしていけば、無意味な争いなどしないでいいわけです。

しかし、いくら不仲な間柄でも親が亡くなると遺産相続という、ややこしい問題が発生します。

最期くらい子供たちに分ける遺産は公平に…なんて慈悲深い親心があればいいのですが、そうでもない人も結構いるわけで、遺書に「遺産は勘当した息子にはビタ一文渡さん!」と書き残している事だってあるわけです。

遺書にこのように書かれた場合、故人の意思を尊重して、勘当された子供には1円の遺産も渡らないかというと、実はそのような事はありません。

最低限の相続権を保障する“遺留分”

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今の日本では特殊なケースを除き、基本的に血の繋がった親子関係は否定されません。従ってどんなに仲が悪かろうと、親が死んだ場合、その遺産は直系の相続人が相続する相続権を国が保障しているのです。

これは故人の書いた遺書よりも効力があり、たとえ遺書に一切相続はさせないと明記してあっても、最低限の相続を認めるルールになっており、この最低限度の相続分を“遺留分”と言います。

ただし遺留分は最低限の相続権ですから、法定相続分より少なくなっています。しかし、相続権はちゃんと保障されているわけなのです。

遺留分は請求しないともらえない?さらには時効もある?

しかし、勘当された息子に他の親兄弟がいる場合には、その人達が黙って遺留分の相続財産を渡すことはないでしょう。

権利はあっても行使しなければ、遺産相続は受けられませんので、相続人である母(父)や兄弟、あるいは姉妹に遺留分を渡すように請求しなければなりません。

これを“遺留分減殺請求”といいます。自分が請求できる遺産を算出し(これが“減殺”)、それを請求するわけです。手続き自体は、調べれば自分でも出来ますが、弁護士に依頼した方が間違いはありません。

しかし、この遺留分減殺請求には、実は“時効”があります。
時効には2種類あって

  1. 遺留分が請求できる遺産相続が開始されたのを、遺留分請求者(この場合は勘当された息子)が知ってから1年
  2. 遺産相続が開始されてから10年

となっています。このどちらかに該当している期間中に遺留分減殺請求を申し立てないと、相続権そのものが執行してしまうわけです。

相続権のまとめ

不仲で絶縁状態となった親子の間でも、日本の法律上では親子の関係である事に変わりはありません。
そのため、親が亡くなって遺言書に如何なる事が書かれていようとも子供には相続権というものが付いてきます。

ですので、遺産分割協議の場に絶縁状態の息子が参加しても何ら不思議な事ではありません。むしろ、参加しないと分割協議が進まない事になります。

また、他の相続人(兄弟、姉妹)だけで勝手に遺産分割協議をおこなっても、そこで決められた内容は法的には無効です。

どんなに不仲だったとしても遺産相続を受け取る権利があるという事です。

もし、どうしても、親の遺産なんか受けとりたくないという場合には相続放棄を選択する事になります。

いずれにしても、幸か不幸か“親と子の関係”はそう簡単には切れないという事なのです。

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