親の介護を寄与分として認めてもらうために取るべき方法

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超高齢社会を迎えた日本では、高齢者の介護が大きな問題となっています。

内閣府から発行された平成27年版高齢社会白書によれば、介護保険制度で要介護者または要支援者と認定された65歳以上の人は、平成24年度末で545.7万人にも上っています。

その要介護者に対して介護をしているのは6割以上が同居人であり、配偶者を除けば、子(21.8%)か、子の配偶者(11.2%)が多く行っていることとなっています。

このように親を介護していて親が亡くなったとき、相続時には通常の相続分に「寄与分」がプラスされます。しかし、この寄与分が認められないケースもあります。介護で尽力したのに、なぜ寄与分が認められないのでしょうか。

そこで今回は、寄与分が認められないケース、認められるケースについて解説していきます。

介護はこんなに厳しい仕事(親の介護例)

介護度合いによっても変わってはきますが、親の介護というものは厳しい仕事です。とくに血の繋がってない義理の父や母の介護に対しては、大きな苦労がともないます。

付きっきりで介護をしなければいけませんから、当然、フルタイムで外に働きに出ることは不可能です。そのため、夫が定年を迎える前の場合は妻が介護を行うことが多くなってきます。

また、24時間年中無休で行わなければいけないのにゴールが見えない作業が介護ですので、長年介護をしているうちに心身に変調をきたすケースもあります。

相続で寄与分が認められにくいのはなぜ?

相続時の寄与分の規定は、民法904条の2によって定められています。しかし寄与分の要件は厳しく、介護では認められないケースも多々あります。

寄与分の大きな要件として、「相続人にしか認められない」ということが挙げられます。

要するに、親の息子の妻が介護していても相続人ではないので寄与分が認められないということです。また相続人でも、ケアサービスや病院などへ連れて行ったという程度では寄与分として認められません。

寄与分を認めてもらうためのポイントは?

寄与分を認めてもらうためには以下のようなポイントをクリアしている必要があります。

・報酬が発生していない「無償性」
・長期間(おおむね3~4年以上)にわたって従事してきた「継続性」
・片手間で行ってはいないという「専従性」
・被相続人の妻、子、兄弟などであるという「身分関係性」

これらのポイントをクリアして初めて、介護の寄与分が認められるようになります。しかも、介護保険の導入によって「老親の介護」への寄与分は認められにくくなっています。

とはいえ、認知症が進んだ被相続人に日に3回の食事を摂らせ、排便の対応など献身的な介護を行っていた長女に対し、その期間3年について1日あたり8,000円の寄与分(計876万円)を認めさせた判例もありますので、諦めないで下さい。

まとめ

もし自分の親に対する介護が寄与分認定のポイントをクリアしていると思ったら、寄与分の問題解決が得意な弁護士事務所を探してアドバイスを受けることをお勧めします。

また寄与分のポイントをクリアしているかどうか微妙な場合でも、遺産分割協議の際に弁護士にサポートしてもらいましょう。そうすることで、寄与分が認められる可能性も高くなります。

親も長期間にわたって介護してくれたことを感謝していると思います。寄与分を受け取ることは正当な権利ですので、正々堂々、主張するようにしましょう。

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