【保存版】相続税を節税する4つの方法

【保存版】課税財産を低くする4つの方法

家族がいる人にとって、いつかは必ず訪れる相続。
遺言によって個人から財産を贈与される遺贈。贈与する人が亡くなることで効力が発生する生前の財産贈与契約である、死因贈与。

これら亡くなった人から受け継いだり取得したりした財産には、税金が課せられます。
いわゆる相続税です。

ただ、この相続税は故人の財産を相続した人すべてに課せられるわけではありません。
ある程度以上の財産を受け継いだ人に課せられるものです。

近年の税制改正で、非課税範囲となる基礎控除額が減額されることが決まりました。
これまで相続税を課されることがないと思われていた人も、しっかり確認をしておかないと、課税対象となる可能性があるのです。

では、課税の対象となるのはどのような財産なのか。そして、その課税対象となる財産の規模を抑えるためにできる工夫はないのか。
課税財産について、役立つ知恵などをご紹介しましょう。

課税財産の範囲

そもそも、課税対象となる財産は預貯金や土地・建物をはじめ、幅広くあります。

  • 現金・預貯金(定期預金、郵便貯金など)
  • 土地(宅地、田んぼ、畑、貸付地など)
  • 建物(自宅、店舗、貸家、駐車場、浄化槽など)
  • 土地に関する権利(地上権、借地権など)
  • 有価証券(株式、国債など)
  • 家財(骨とう品、貴金属、家具、パソコンなど)
  • 事業用、農業用財産(農業用機材や果樹、家畜など)
  • その他の財産(ゴルフ会員権や著作権、貸付金、自動車、船舶など)

さらに、亡くなった人(被相続人、贈与者)から直接相続したものではなく、別のかたちで間接的に財産を取得して、実質的に直接相続したとみなされる「みなし相続財産」というものがあります。具体的には以下のものです。

  • 死亡保険金(被相続人の死亡によって支払われる生命保険金や共済金など)
  • 死亡退職金(被相続人が受け取るはずだった退職金や功労金など)
  • 生命保険契約に関する権利(生命保険契約で相続時に保険事故が発生していないもの)
  • 定期金・年金契約に関する権利(相続時には年金の給付事由が発生していないもの)
  • 定期金・年金の受給権(遺族が受給できる契約になっている一時金や年金の受給権)
  • 退職年金の継続受給権(被相続人の死亡後も遺族に対して継続支給される退職年金)
  • 信託受益権(遺言で与えられることになった信託銀行などに預けられていた遺産)
  • 債務の免除益(遺言によって借金の肩代わりや帳消しをしてもらうこと)
  • 本来の時価よりかなり低い価格で取得した財産

ちなみに、死亡保険金や死亡退職金は、一定の非課税枠が設けられています。

加えて、相続前3年以内の通常の贈与も相続財産に含まれます。

以上のように、課税対象となる財産の範囲は多岐にわたるのです。

実際の課税範囲

相続税が課せられる対象となるのは、相続財産の総額から非課税となる基礎控除額を差し引いた部分です。

現在は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」が非課税となる金額で、相続財産の総額がこの範囲内であれば相続税はかかりません。

ですから、相続税が課せられる対象となるのは全体の5%ほどとされています。

ただ、税制改正により平成27年1月1日からこの基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に下げられることが決まっています。

これにより、相続税の対象となるのが10%程度に増えるとも言われています。

相続税の節税対策

せっかく故人が遺してくれた大切な財産です。
できれば税金として差し引かれたくはないですし、税金が課せられるとしてもできる限り節約したいですよね。

そこで、課税財産をなるべく抑えるための工夫をいくつか紹介します。

その1 生前贈与「暦年課税」

課税財産を抑えるためには、まず単純に、相続時の財産全体を抑えることです。そのためのスタンダードな方法に生前贈与があります。
贈与にも贈与税はかかるのですが、非課税枠を上手く活用することで贈与税も節約できるのです。

贈与税には2つの制度があります。
1つは一般的な贈与にあたる「暦年課税」です。この制度には贈与を受ける人1人に対して、年間110万円の非課税枠があります。
これを利用して、毎年110万円以内の金額で少しずつ子や孫に贈与を続けて、相続が開始されるまで財産総額を減らしていくという方法です。

ただ、この方法には注意が必要で、あからさまに定期的に贈与を繰り返していると、非課税枠と認められないことがあります。
多額の贈与を分割支給しているとみなされてしまうのです。

つまり、1000万円の贈与を5万円ずつ20回に分けて支払っていると判断されてしまうということです。

このような事態を避けるためには、贈与のタイミングや金額に気を配り、贈与であるという証明を書面で残しておくなど、適切な処理を心がけることが大切です。

この方法は、財産を残す側が長い期間をかけてこつこつ続けられる場合に適した方法です。
毎年の節税効果は小さいですが、数十年が経過して実際に相続となった時に、その効果が実感できるでしょう。

なお、相続が開始される前3年以内の贈与は、相続財産に加算されますので、その点には注意が必要です。

その2 生前贈与「相続時精算課税」

贈与税のもう1つの制度は「相続時精算課税」です。

これは、2,500万円までは贈与税が非課税となる贈与です。
ただし、この2,500万円は相続の際に相続財産として加えられます。

生きている間に2,500万円を受け取り、相続時の財産が1,000万円だったとすれば、相続財産は3,500万円ということになるのです。

結局、相続財産として計上されてしまうのでは、意味がないように思えますが、有効になる場合もあるのです。

例えば、将来的に間違いなく価値が上がると見込まれる株式を持っている場合などです。
まだ価値が低いうちに生前贈与しておけば、仮にその後どれだけ株価が上がっても、相続時には贈与した時の低い株価で計算されるのです。

このように、価値が変動する財産を多く持っている場合は、価格の変化に対する見極めは必要ですが、価格が低い間に贈与してしまうことが有効です。
もし、相続時にその財産の価格が高騰していたとしても、財産総額の増大を防ぐことができます。

なお、この制度は贈与する側が65歳以上の親、受け取り側が20歳以上の子(子が亡くなっている場合は20歳以上の孫でも可)でなければ利用はできません。

そして、先に紹介した「暦年課税」と「相続時精算課税」は、どちらか一方しか選ぶことはできません。
相続されることが予想される財産の中身や、生前贈与をしようとしている際の状況などをよく考えて選択してください。

その3 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(※期限付き)

平成26年4月より、孫の教育に関する資金に限って、1人につき1,500万円まで非課税で贈与できる制度が開始されています。
期限付き(平成27年12月31日まで)ではありますが、すでに多くの人がこの制度を利用しているようです。

これは、事前に一括で贈与を受けていても、将来的に学校など教育のために使う費用であれば、1,500万円までが非課税となるものです。
また、500万円までは習い事や塾など、学校以外の教育関連費用であれば対象になります。

この制度は、教育資金ということを明確にしなければならないことと、30歳に達するまでという制限があります。

教育資金以外に使用された場合、それは贈与税の対象となりますし、30歳になった時点で残金あれば、その残金にも贈与税が課されます。
その他、金融機関に専用の口座を開設する必要があるなど、利用するためのルールがありますので、注意してください。

祖父母から孫に対する資金贈与となっていますが、この贈与によって両親が用意するべき子どもの教育資金が賄われていることになるので、結果的には、親から子への贈与とも言えますね。

その4 基礎控除額を増やす

財産総額を下げることが難しい場合は、できる限り基礎控除額を増やすことが有効です。
基礎控除額の計算方法は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」。
つまり、法定相続人を増やすことで基礎控除額を増やすことができるのです。

具体的には養子縁組をすることですが、相続税節税のために養子縁組を乱用されることを防ぐため、規定が定められています。

被相続人(相続をする側)に実子がいる場合は養子のうち1人のみを、いない場合は養子のうち2人までを法定相続人の数に含むというものです。
もちろん、養子縁組が相続税を不当に減少させる目的だと認められれば、法定相続人には含まれません。

孫を養子にすれば1世代分の相続税を節約できますし、子の配偶者を養子にすれば本来法定相続人ではない人に相続財産を与えることもできます。

ただこの方法は、孫を祖父母の養子にするなど、書類上のことであっても家族構成を変えてしまうことになるので、よく検討して実施してください。

まとめ

いかがだったでしょうか。
大切な財産を少しでも多く次の世代に受け継ぐために、利用できる制度を上手に活用して節税や減税の工夫をしてくださいね。

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