2015年の相続税改正に備える!まだ、間に合う相続税対策まとめ

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相続税の見直しで取り分が少なくなる

相続税の改正まで、残すところ3ヶ月となりましたね。

自分には“関係ない”なんて思っている人も、知っておいたほうがいいかもしれません。

なぜなら、相続税の改正で“今までよりも取り分が少なくなる”可能性があるからです。

もっとも大きな変更点は、「基礎控除額」が引き下げられることです。

基礎控除額とは、相続税が免除される上限です。これまでの基礎控除額は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。

このルールが2015年からは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」にまで引き下げられてしまいます。改正により6割の引き下げです。

では、基礎控除額が引き下がると、相続にどのような影響を与えるのでしょうか。

今までよりも取り分が少なくなる

3人の法定相続人で計算した場合、現状では「5,000万円+1,000万円×法定相続人3人」に基づいて計算し、相続税の基礎控除額は8,000万円となります。

しかし、2014年以降は「3,000万円+600万円×法定相続人3人」で4,800万円となります。

仮に1億円を3人で分ける場合、現状は2,000万円に対して相続税が発生しますが、今後は5,200万円が課税対象となってしまいます。

つまり、今回の見直しで、“支払う相続税が多くなり、取り分が今までよりも少なくなる”ということです。

この見直しを知らないまま相続を迎えると、思わぬ“落とし穴”になるので注意が必要ですね。

現在、25人に一人しか発生しないと言われている相続税も、今後は確実に相続税を支払う人が多くなると予測されています。

あらためて「生前贈与」の重要性が注目される

相続税に関する“節税対策”として、様々な媒体で「生前贈与の重要性」を解説していますが、相続税の見直しが行われる今、生前贈与を活用した節税対策があらためてクローズアップしています。

そもそも相続税とは財産に対して発生する税金です。その課税対象を減らすために基礎控除が設けられています。

例えば、1億円の財産を相続する場合、法定相続人3人であれば基礎控除額が4,800万円ですから5,200万円に対して相続税が発生します。(2015年から)

そのため、相続する財産を生前のうちから減らしておけば、相続する際には相続税が安くなります。

この原理が「生前贈与による節税対策」です。生前贈与で課税対象を減らすというのが目的ですね。

生前贈与の活用

相続税の節税対策で最もポピュラーな方法が生前贈与です。そのなかでも「年間110万円の贈与」など代表的な手段と言えます。

贈与税は年間110万円までなら控除されるので、その仕組みを利用した生前贈与です。

法定相続人に財産を年間110万円ずつ贈与して、相続時の課税対象額を減らすのが狙いとなります。

しかし、注意しなければならないのが「贈与と認められる手続きに従う」ことです。形式上だけで贈与を行っても、いざ相続する際に贈与として認められず課税対象になってしまう場合もあります。

贈与する際は通帳に振り込んだり、贈与契約書を交わしたりするなどして実際に証拠を残しておくことが重要です。

そのほかにも、様々な節税対策があります。

  • 「配偶者控除」を利用した生前贈与
  • 「教育資金の贈与」を利用した生前贈与
  • 「相続時精算課税」を利用した生前贈与
  • 「生命保険」を利用した生前贈与

相続税の節税対策 役立つまとめ

これらは全て、生前から“財産を減らす”ことを目的とし、相続の際に課税対象額を少なくするのが最大の目的となります。

  • 生命保険に加入して現預金(財産)を減らす
  • 生前贈与の控除(年間110万円)を利用して現預金(財産)を相続人に贈与する
  • 贈与税の配偶者控除を利用して土地や建物(不動産)を贈与する
  • 教育資金の贈与に関する特別措置を利用して現預金(財産)を減らす
  • 相続時精算課税を利用して土地や建物(不動産)、現預金を贈与する

そのほかにも相続税の対策として、

  • 生前に「返済可能な債務(借金)」を作り、財産の評価額を減らす
  • 「小規模宅地の特例」を利用して財産の評価額を減らす
  • 相続する予定の「不動産を運用して相続税の資金を確」保しておく
  • 「農地の納税猶予」を利用して相続対策を行う

など、ケースによって活用すべき対策が設けられています。

非課税制度を利用する意味

今回ご紹介した相続税の節税対策は「非課税制度の利用」です。

非課税制度を上手に活用すれば相続税の改正が行われたあとでも、“相続税を多く支払う状況”を回避し、今まで通りに自分の“取り分”を残すことができます。

なかには小細工なしで相続税を納めるという方もいますが、それはそれで一つの選択です。

でも、被相続人が築き上げた財産を“少しでも多く残すこと”は、相続人に託された使命と言えます。

多くの相続税を支払うか、それとも多くの財産を残すか、その選択は相続人の判断に委ねられますが、せっかくなら“得する方法”を選択したほうが賢明ですよね。

相続税の改正に先立って、「相続税対策の重要性」を今一度理解しておきましょう。

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