
郵便局の簡易保険に加入している人たちは全国にたくさんいますが、亡くなったときは、「特約還付金」が支払われることになっています。
この特約還付金を遺族が受け取ったら、相続税がかかることになります。
専門家の助言を聞きながらスムーズに納付の準備や節税対策を行っていくことが理想的です。
簡易保険の特約還付金が発生する背景
簡易保険は終身保険の一種ですから、(加入者が解約しない限り)払込期間を通じて積み立て続けます。そして簡易保険では、保険に加入していた人たちが保険の解約をするとき、あるいは亡くなったときにそれまでに積み立てられていた保険料を返還することになっています。その還付される保険料が、簡易保険の「特約還付金」と呼ばれるものです。
身内が亡くなりそうなときは、簡易保険に入っていないかどうかもなるべく早いうちに確認しておくほうが得策ですし、わからないことがあるときは郵便局に問い合わせて準備を進めておくことも有効でしょう。
ただし、郵便局の窓口に行って質問しても、詳細な知識を持っている職員がいるとは限りませんから、電話等を使って詳細な情報を持っている人がどこにいるのかあらかじめ聞き出しておくことも大切でしょう。
※この簡易保険の特約還付金は、故人の遺族(相続人)に向けて支払われますが、これは故人の代わりに受け取るという解釈になると考えましょう。「生命保険等の保険金を、指定されていた受取人として受け取る」といった状況とはまったく異なります。生命保険に認められている「相続税の非課税枠」のような制度を利用することはできません。
特約還付金は相続税の対象となります
簡易保険の特約還付金は、税法上は「相続財産の一部」と解釈されます。特約還付金には、相続税がかけられることになるわけです。
また、相続人が2名以上いるときは、遺産分割協議等を行うなどして特約還付金も分配することになります。
終身保険としての積み立てを行う以上、特約還付金が相続人たちに渡される頃にはかなりの金額に上っていることが少なくありません。相続人間で分配しても、かなりの額が回ってくることもよくありますから、相続税の計算をするときは、特約還付金のことも忘れないようにする必要があります。
特約還付金の相続税の納付手続きをするにあたって
特約還付金がいくらになるかはケースバイケースで変わりますが、その金額や、他の相続財産の内容によって、とったほうがいい節税対策もだいぶ変わってきます。極端な例を取り上げるなら、特約還付金があるせいで相続税を余分に払わなければならなくなることもありえます。
損をしないようにするためには、早めに特約還付金を含めた、すべての相続財産をリストアップして、実際に払わないといけなくなる相続税額を算出し、少しでもそれを減らすにはどうしたらいいのかを考えていく必要があります。
一般人にはなかなか正確な計算は困難でしょうから、少しでも不安な点があるときは法律の専門家に相談して教えてもらうほうが近道となります。
特に、「特約還付金のことを入れ忘れたまま相続税の計算と納付を済ませてしまった」としたら、あとで相続税の納付のやり直しをする必要が発生してしまいますから、くれぐれも見落としがないようにしたいものです。
※なお、遺言に特約還付金に関する記述がある場合は、その記述が優先されますから、遺言で記載されているかどうかも、早めに確認するようにしましょう。
簡易保険加入者が亡くなったときの注意点
人が亡くなった直後は、かなりの混乱が発生することが普通です。特に相続に関しては、慣れていない人が多いこともあって、簡易保険の特約還付金のような目立たないものについては見逃されやすいといわれています。
簡易保険加入者が亡くなったときは、郵便局や行政のほか、税理士のような専門家から話をよく聞いて、迅速に相続に向けて動いていくことが望ましいでしょう。
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