遺産相続の寄与分 - 介護や生活費の支出などの寄与分は相続時にそのまま戻るとは限らない

現在(2016年10月1日の統計で)、日本は65歳以上の高齢者が全人口の27%を越えた少子高齢化社会となっています。
高齢の両親や親戚のお世話をされている人はたくさんいます。
中には仕事を退職し、両親と同居したうえで在宅介護に専従している人もいます。
しかし、収入がない生活では、生活費を貯金や親の年金に頼らねばならず、将来的な困窮を招くと言われています。

このように自分のキャリアを犠牲にし、献身的に介護を行った場合、ご両親が亡くなった後の相続では考慮されるのでしょうか。
遺産を兄弟で分ける際に、他の兄弟と等分になるのでしょうか。

遺産相続は法定相続分に従って分けるだけではありません。
生前の被相続人への貢献を考慮する寄与分という制度があるのです。
ここでは、この相続の取り分が認められるケース、算定方法、主張する手順についてご説明します。

寄与分とは?

相続を分割する際は、寄与分を相続財産には入れず、残った分を相続人で配分します。
寄与を認められた相続人は寄与分と相続分を相続します。

寄与を認めるかどうかの判断や寄与分の価値については相続人の間で話し合って決めます。
相続人以外は相続権がないため、寄与分は認められません。

どういう行いが寄与行為となるか

民法では、次の3つの要件に寄与分が認められるとしています。

1.共同相続人による寄与行為
2.寄与行為が特別の寄与である事
3.寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係がある事

「特別の寄与」とは?

家族は日々、色々なことをサポートし合って暮らすものです。
お使いや援助などはどの相続人も行っていると考えられるため、寄与とは認められません。
家族であれば日常的に行うことを寄与として認めてしまうと、寄与行為ばかりになってしまいます。

民法では、特別の寄与こそが寄与行為と認められます。
それは無償で長期間、専従する行為です。
たくさんの時間と労力・金銭を無償で提供した行為を法定相続人が行っていれば、寄与分が認められます。

寄与分が認められるケース

民法の条文からすると、具体的な行為があまり想像できないかも知れません。
では、実際にどういった行いが寄与行為とみなされるのでしょうか。
具体的な行動例を見ていきましょう。

ケース1 【家事従事】被相続人の長男が被相続人の事業を無償で手伝っていた場合

長男が会社に雇われていた場合、貢献したのは会社の利益になりますので、被相続人への寄与行為にはなりません。
無償で長期間にわたり、被相続人にとって負担となっている作業を行ったということが大事です。
なお、業種としては農業、商工業、専門資格職業に多く見られます。

ケース2 【金銭出資】被相続人の長男が被相続人の不動産購入の際に、資金提供を行った場合

資金は長男が自分で得た収入であることと、不動産は被相続人個人のものであることが重要です。
ほかにも、借金の返済も同じような金銭出資による寄与とみなされます。

ケース3 【療養看護】妻が病気の被相続人の看病を行っていた場合

要介護状態は身体上または精神上の障害があり、日常の基本動作において介護を要する状態のことですが、この状態になると常時付き添いが必要となります。
被相続人が要介護状態にあり、有料介護サービスを受ける代わりに付きっきりで介護した場合は寄与行為とみなされます。
週2日程度の療養看護では寄与には当たりません。

介護が寄与とみなされるのは、有料介護サービスの代わりとなるためです。
介護費用を節約することで、被相続人の財産の増加に寄与したと考えることができるのです。

寄与分の算定方法

寄与分を算定するには、寄与行為から金銭的な価値を割り出す抽象的な規定を用います。
実際のところは、家庭裁判所の裁量に委ねられることになります。
金銭の出資による場合、寄与分はそのままの額になります。

借金を肩代わりした場合の寄与分

寄与分=実際に払った金額を相続開始の年の貨幣価値に換算した金額

療養看護した場合の寄与分

寄与分=ホームヘルパーの日当の金額×看護の日数×裁量的割合

ホームヘルパーの日当は介護報酬基準額から計算します。
しかし、寄与者がプロの介護士ではない場合、いくらか金額を割り引かなくてはなりません。
そこで裁量的割合をかけ合わせています。

長期間の家業への無償の従事

寄与分=相続開始時の寄与者の年収×(1-生活費控除割合)×寄与年数

(例)生活費控除割合を0.5とし、年収400万円で3年間従事したとすると寄与分は600万円となります。

400万円×(1-0.5)×3=600万円

実際には寄与分には相対的評価が下される場合が多い

寄与分の算定額や譲渡した金額が家庭裁判所にて、そのまま寄与分として考慮されれば理想的ですが、現実にはそうした絶対的評価は比較的少ないケースだと言えます。
その代わりに多いのが相対的評価です。
これは遺産の総額のうち、寄与分の割合を決める算定方法です。

たとえば、生前に300万円に相当する寄与行為があったとしても、その貢献度が5%だと考慮されてしまうと、遺産が6,000万円以上あって初めて300万円の寄与分が認められることになります。

遺産が1,000万円のケースで300万円の寄与分を認めてしまうと、それだけで全体の30%をも占めることとなります。
仮に配偶者と子供が2人兄弟として、兄が寄与者だとすると、

  • 配偶者:350万円
  • 兄:475万円
  • 弟:175万円

となり、他の相続人との相続額に開きが出てきます。

そこで寄与を遺産総額の5%という相対的評価として算定すると、(1,000万円×0.05で)50万円となり、

  • 配偶者:475万円
  • 兄:287万円
  • 弟:237万円

という配分になり、法定相続分に比較的近い分割になります。

寄与分の主張は遺産分割協議で

寄与分は遺産分割協議の場にて主張することができます。
しかし、介護などの問題は他の相続人が認知していない場合もあります。
そのようなケースでは、なかなか話し合いで寄与分が認められることは少ないでしょう。

そこで、家庭裁判所に調停を申立て、調停委員に仲介に入ってもらうこととなります。
それでも不成立となった場合は審判を申立てます。

遺産相続で寄与分が戻ってくるつもりでいると損するおそれも

親の生前に譲渡した資金や介護の費用分を遺産相続で返してもらおうと思っていると、とらぬ狸の皮算用になるでしょう。
寄与分は相対的評価が下され、額面通りに認められないことが多いためです。

もしも生活費が苦しい中、介護や資金援助をしている場合は、相続人同士でよく話し合うことをお薦めします。
必要な出費を分担したり、誰か余裕のある人に任せたりした方が、相続人にとって経済的なリスク回避ができる場合もあるでしょう。

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