兄弟で遺産分割するときに知っておきたいこと

父親の突然の死―。
悲しみの中、お葬式を終え、一段落したら遺産の手続きもしなくてはなりません。

さて、その遺産を引き継ぐのは誰でしょうか。
子供たちでしょうか、それとも配偶者である妻でしょうか。
父親の両親や兄弟まで相続を名乗り出てきたらどうしますか?

特に兄弟間での相続争いはよくあるケースです。
それぞれの配偶者までもが話し合いに入り込んできて、ヒートアップすることもあります。
それまで仲が良くても、お金や土地が貰えるチャンスと考え、それまで親にどれだけ孝行してきたかや、長子であることなどを主張し合うのです。

そのような激しい相続争いに発展してしまうと、親族の絆は修復不可能になる場合もあります。
仮に遺産分割が確定したとしても、その後は絶縁ということになってしまったら、天国の被相続人はどう思うでしょうか。
兄弟で遺産分割をする際に知っておきたいポイントを事前に押さえて、いざというときの相続分割に備えましょう。

財産が多い人だけじゃない、少なくても争いになることも

相続の争いは遺産総額が多い家庭に起こるというイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には今、遺産5000万円以下の場合のもめごとが増えています。
つまり、相続争いは少額でも起こり得るものなのです。

また、「うちは兄弟(姉妹)の仲がいいから」と思っていても、何が起こるか分からないのが遺産相続です。
実際に遺産を分ける段階になってから、突然多い取り分を要求してくる人もいます。
そのため、予め準備しておくことが肝心です。

法定相続分という目安

無限に相続人が名乗り出ることがいないよう、民法では、相続人になることができる人を定めています。

その範囲は配偶者相続人と血族相続人となっています。
配偶者相続人は妻、夫のことです。
血族相続人は子供、孫、父母、祖父母、兄弟です。
おじ・おば・いとこは原則的に相続人にはなれません。

相続人の相続順位

配偶者は常に相続人になります。

しかし、それ以外の親族には相続に優先順位があります。
上の順位の者が遺産を相続する場合、下位の者は相続ができないことになっています。
子や孫が遺産を相続する場合、父母や祖父母は相続ができません。

つまり、子・孫・父母・祖父母が居ない場合にはじめて被相続人の兄弟に相続権が回ってきます。

  • 第一順位
  • 子、孫
  • 第二順位
  • 父母、祖父母
  • 第三順位
  • 兄弟、姉妹、甥、姪

結局、法定相続分はいくらなの?

相続の割合を法定相続分といいます。
以下に相続分の例を見ていきましょう。

ケース1:配偶者&子供

配偶者:子供=1/2:1/2

ケース2:配偶者&子供2人

配偶者:子供:子供=1/2:1/4:1/4
※子供全員で全体の1/2の配分となりますので、子供の数でそれを割ることになります。

ケース3:配偶者&故人の兄弟

配偶者:兄弟=3/4:1/4

ケース4:配偶者&故人の兄弟2人

配偶者:兄弟=3/4:1/8:1/8
※故人の兄弟全員で全体の1/4の配分となりますので、兄弟の数でそれを割ることになります。

法定相続分は絶対ではない

相続の取り決めにおいて、法定相続分よりも優先されるのは遺言書の内容です。
そのため、遺言書がある場合は、被相続人が定めた配分がまず適応されます。
また、遺産分割協議によって、配分を話し合うことも可能です。

ただし、どちらの場合も遺留分<と言って、全くもらえない相続人が出ないように最低の配分を確保できる仕組みがあります。
たとえば、遺言書で子供の相続分が書かれていない場合、子供は遺留分を受け取ることができます。
子供の遺留分は全体の4分の1となっていますので、それを人数で割った額が1人の相続分となります。

親の介護をしていた人は取り分が多い?

高齢化社会の現在、ご両親の介護のために故郷に帰ったり、同居したりする方は多くいらっしゃいます。
そのような方は、介護を行わなかった他の兄弟よりも多く遺産を受け取れるのでしょうか。

特別な貢献に認められる「寄与分」

故人の生前に特別な貢献をした際は、その分、財産を多く受け取ることができます。
その加算分を寄与分といいます。
特別な貢献とは介護やその費用の捻出、事業の手伝い、生活費の支払いなどが一般的に当てはまります。

生前にもらっていたお金は差し引く

一戸建ての購入費用や結婚式の資金として、親からお金を援助して貰うことはそう珍しいことではないかもしれません。
多額なため、お金を受け取った子供にとってはかなりの援助になります。
このようなお金の工面が他の子供に対してはなかったとしたら、それは相続分に考慮されるべきではないでしょうか。

相続分からお金を差し引くパターンとして特別受益という方法があります。
これは被相続人からの生前の贈与の差がほかの相続人と生じるように、配分するものです。

ケース1 生前に兄に300万円の贈与があり、遺産額が4,000万円の場合

兄:弟=1,850万円:2,150万円

※兄弟の相続分の差は300万円となっています。

※計算の仕方としては、遺産額に特別受益を足して2で割った金額が弟の相続分となり、そこから特別受益を引いたのが兄の相続分となるように計算します。

生前に話し合っておきたいこと―不動産、会社

実家や不動産、経営していた会社といったものは、相続分を決めることが難しい財産です。
心情的には長男に継がせたいといった傾向にあるかもしれませんが、法律上は兄弟の取り分は等分となります。
不動産をお金に換えてから分けたり、土地を半分割にしたり、いくつか方法はあります。

また、他の手法としては、代償分割があります。
これは長子が不動産を継ぎ、その代わりに相続分の金額を兄弟に払うという方法です。
しかし、多額の金額が用意できないなどの問題が生じる可能性もあります。

できるだけ遺言書を作っておいてもらいましょう

子としては親に向かって遺言書の話はしづらいことと思います。 死について考えさせたり、遺産目当てだと思わせたりしないかと躊躇することでしょう。

しかし、遺言書を書かなかったがために、相続について争うケースは後を絶ちません。
争いが激化すると、家族がバラバラになることもあります。

そうなってしまわないよう、突然話を切り出すのではなく、徐々に話の流れで遺言書について話題にしてみましょう。
ご本人が関心を持って初めて、作成についてお話をすれば良いでしょう。

遺言書の作成や相続の争いの際は弁護士に相談を

弁護士に相談することが即ち法廷での係争ではありません。
相談をすることで、より円満な解決の糸口を見つけられるかもしれません。
弁護士は日々、様々なケースと接しています。
今までの経験を活かした的確なアドバイスを行うことができます。

また、遺言書の作成に関しても、弁護士への依頼がお薦めです。
特に相続の内容が複雑であるほど、法律の専門家である弁護士が適正な書式の遺言書作成に適しています。

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