「家の相続はしてみたけれど…」 実家に住まない人の増加がもたらす「空き家」という悩ましい社会問題

vacant room

日本の物件は7戸に1件が空き家

「空き家」が社会問題になっていることをご存知ですか?

いま、日本には800万戸の空き家があるそうです。国内にある住宅物件を統計すると、およそ7戸に1件が空き家となっています。

都心部に近い地域であれば改築やリフォーム、リノベーションを施して新しい物件に生まれ変わることもできるですが、問題は地方の空き家です。

例えリノベーションしたところで入居者が見つからなければ意味がないのは当然で、手つかずの状態で空き家が放置されています。

さらなる問題が特定の事情で手を付けることのできない空き家の処理です。自然消滅を待つだけの空き家ならば、すぐに取り壊してしまえば更地として管理するだけの話ですが、なかには取り壊すことすらできない空き家もあります。

所有者が不明の空き家や、取り壊したくても費用を工面できない所有者などが良い例です。その結果、仕方なく空き家のまま放置するしかありません。

こうした空き家が及ぼす深刻な悩みが「犯罪」です。

空き家への放火や無断侵入など、空き家の存在そのものがマイナスな要素となります。

そして、もっとも悪い影響が「粗大ゴミの不法投棄」です。有害物質や害虫などが大量発生し、環境汚染につながってしまいます。

空き家問題は解決するのか?

では、これらの問題を解決する良い手立てはないのでしょうか?

都心部から離れた田舎では、地方自治体が空き家の所有者に対して適正な管理をするよう注意を促していますが根本的な解決策にはなっていません。

しかし、そんななか画期的な取り組みもあります。田舎での暮らしに興味があるユーザーをターゲットにした「空き家バンク」は、地方自治体や不動産が手掛けている空き家対策として興味深い取り組みです。

改築やリノベーションでリニューアルした空き家をユーザーに月額で貸出し、田舎暮らしを体験してもらうという試みになります。つまり、空き家を再利用して田舎暮らしを“斡旋”しているわけですね。

ワンシーズンのセカンドハウスとして利用するユーザーが多いようですが、将来的に田舎での生活を考えているファミリーも増えているようで徐々に需要が高まっています。

とはいえ、800万戸の空き家問題がすぐに解決されるわけではありません。長い歴史により積み重なった問題ですから、そう簡単に解決するはずがないですよね。

しかし、このまま空き家が放置されたままの状態では100万戸を超える日が確実にやってきます。まず、身近な対処法として、これ以上“空き家を増やさない”ことが求められます。

相続人が家に住まないという問題

空き家問題の多くは相続したけれど、その家に相続人が住まないことから起こっています。

両親から家を相続したけれど、「遠く離れた場所で生活している」、「管理や維持に費用がかかる」、「空き家を壊して更地にすると固定資産税や都市計画税などが上がる」などを理由に相続人がその家を放置してしまうのです。

都心部なら売却して現金にしてしまえば空き家にならず解決しますが、田舎では簡単には買い手が見つからずに仕方なく維持するしかありません。

しかし、ここ数年前から首都圏でも同じような現象が起き始めているようで、もう田舎だけの問題ではなくなってきています。

都心部でも空き家が問題に?空き家のリサイクルが活発化

近年、人工の減少が悩ましい日本ですが、その割には新しい家が次々と建っています。

空き家は野放し状態、でも新しい家は建っていく、これでは空き家が減らないのも当然です。減るどころか、空き家が増える可能性を高めているのと同じことです。

「新しい家を建てるな」とまでは言えませんが、今後の空き家問題を考えるのであれば、何かしらの「規制」や「ルール」が必要になりますね。

区画に応じて新築できる件数を抽選で決めたり、抽選に漏れた施行者は空き家をリノベーションして再利用したりするなど、根本的な解決策を考えなければならないでしょう。

まとめ

空き家は地域の住民や自治体にとっては悩ましい問題です。治安の悪化、景観の悪化、環境悪化、天災による二次災害の懸念など空き家がもたらす問題は少なくありません。

しかし、更地にすると税金が余計に掛かるとなると多くの人は、このまま空き家の放置を選択するのではないでしょうか。

国や地方自治体主導で問題解決にあたる他、方法はないように思います。

最近では、都市部などで空き家を再利用して図書館にしたり、カフェや雑貨屋といった店舗に利用したりするなど空き家リサイクルの動きが活発化しているのが多少の救いです。

空き家をリノベーションしてシェアハウスとして貸し出している個人もいるそうで、個々による対策が見受けられるのは良い現象と言えるでしょう。

しかし、地方ではこのような利用は難しいでしょう。

ひとまずの対処法ではありますが、空き家をリサイクルして活用する動きに期待を膨らませたいところです。

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