葬儀屋の「終活フェア」に参加して、入棺・仏衣の着衣・エンディングノートの書き方を体験してみた
終活や相続に関するビジネスが賑やかな昨今です。最近では、葬儀屋さんが生前から人生の締めに備えた終活のサポートをおこなっています。気になるその中身はどのようなものでしょうか。
エンディングノートと終活
2011年10月1日に劇場公開された映画「エンディングノート」。娘が撮り続けた家族の記録を、父の“終活”に合わせてドキュメンタリータッチで構成したエンターテインメント。この映画、考えさせられるシーンが多くて思わず感情移入してします。
映画「エンディングノート」
http://www.bitters.co.jp/endingnote/
「エンディングノート」と「終活」をテーマにした映画ですが、正直なところ、個人的にはあまり馴染のない言葉です。とはいえ、最近では終活を考える方も増えてきているらしく、エンディングノートへの理解も浸透しているとか。
“終活カウンセラー”という認定資格もあるほどで、今後益々、エンディングノートや終活が注目されることは間違いなさそうです。
【参考】一般社団法人 終活カウンセラー協会
http://www.shukatsu-csl.jp/
50%以上の人がエンディングノートに興味あり
2013年に終活の認識度調査を行った結果、「知っている」と答えた人が全体の27%。エンディングノートについても同じ調査をしたところ、「知っている」と答えた人は64.5%。
さらに驚くことが、エンディングノートに興味を示している人の数。「書いている」「書いてみたい」と答えた人が53.1%。半数以上の人がエンディングノートへ強い関心をもっていることが分かります。
エンディングノートの内容を調査したところ、なかでも特に多かった回答が「終末期医療」と「自分の葬儀や墓のこと」について。続いて、「家族へ宛てた感謝のメッセージ」という結果に。データを見るかぎり、すでに社会現象といっても過言ではない数値。それほど、自分の死と真剣に向き合っている人が多いということでしょうか。
【参考】60歳以上の男女 約3611名を対象に行った「終活」に関する調査 ライフメディア リサーチバンク
http://research.lifemedia.jp/2013/02/130220_endingnote.html
葬儀屋の“終活フェア”に参加してみた
自分の死と真剣に向き合っている人がどれほどいるのか?
まずはこの目で確かめるべく、葬儀屋が開催する“終活フェア”に参加してみました。
8月3日、愛知県某所。50名入りの会場に集まった参加者は私を含めて57人。どうやらアンケートのデータは間違ってないらしい。終活に対する認知度が高いことにビックリ。
この日の内容は、「エンディングノートの書き方」「入棺体験」「仏衣の試着体験」。10:30分にセミナーが開始し、相続支援センターから派遣された講師が終活について熱く語ること1時間、エンディングノートの書き方講座が始まりました。
講座を参考に大切なポイントをまとめると、
- 自分のプロフィールを書く
- 親族と関係者の情報を書く
- 将来の介護について書く
- 所有する財産を書く
- 債権について書く
- 葬式とお墓についての希望を書く
- 遺言を書く
- 家族や知人へのメッセージ
- 通信機器の情報を削除するお願い
・生年月日、家系図、学歴など
・関係性、その人の連絡先・住所・葬儀通知の有無
・終末期医療の希望、臓器提供の有無、病気の告知はしてほしいか、など
・預金口座、カード、そのほか自分名義の資産、など
・貸しているお金があれば、どのように処理してほしいか
・参列者の数、宗派の問題、葬儀場所、予算、喪主の指名、など
・ただし、遺言書としての効力はない。遺言書は別の作成が必要)
・感謝の言葉、伝えたい事実、これまでの想い、など
・メールアドレス、パソコンデータや携帯電話データの処分方法
そのほかにも、葬儀会場を決めておくことのススメや、生前にお墓を選んでおくなど、しっかりとレクチャー。遺品整理や遺産相続についても会話でふれ、生前に準備しておくことの重要性を体験談にそって説明がありました。
終活セミナーのまとめ
講座の終わりに講師の方が言った一言。
「エンディングノートは想いを伝える最期の言葉。お墓のことや葬儀のことなど現実的な用事を書く理由は、“その時”に家族が困らないようにするため。どうしてほしかったのか、どうしてほしいのか、それが家族の一番知りたいことだから。そういった心配りも含めて、家族との絆をカタチにした手紙がエンディングノートです」
思わずジーンと胸が熱くなりました。
最後に、棺に寝て、仏衣を試着して、エンディングノートをもらい会場をあとに。
終活フェアを終えて感じたことは、「終活をしている人は自分の死と真剣に向き合っているだけではなく、家族に対する想いが人一倍強い」ということです。
誰にでも、いつか必ず訪れる死。“その時”に備えてあなたなら家族へどんな言葉を遺すでしょうか。