遺産相続をスムーズに終わらせるための必ずやるべき2つの手続き
財産(遺産)を分配する前の手続き
遺産相続は突然の出来事、そう思っている人は、相続に備えて準備をしていないということになります。
相続と聞けば、誰しも「財産を振り分ける作業」をイメージするでしょうが、単にそれだけではありません。
手続きに取り掛かる期間は、葬儀が終わって約1ヶ月前後の間が一般的です。
その期間中に「何を、どのように手続きすべきか」を把握している人は少ないと思います。
何を、どのように手続きしなければならないのか、その内容を確認していきましょう。それらを把握したうえで、「手続きを開始するタイミング」を検討するようおすすめします。
遺産の名義変更
遺産分割に際して必ず生じる手続きが「名義変更」です。遺産を分割したあとは名義を変更しなければ相続人の財産として確定しません。被相続人に所有権が残ったままです。
例えば不動産を現金化して遺産分割する際などは、早急に名義変更が必要になります。
期日はありませんが、名義を変更しなければ遺産の所有者は被相続人のままです。
〈準備する書類〉
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の戸籍の附表
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の住民票・戸籍の附表
- 遺言書(被相続人が書いていない場合は不要)
- 遺産協議分割書(作成)
〈名義変更が必要な主な財産〉
- 不動産 ・・・ 法務局にて登記簿謄本の書き換えが必要になります
- 預金 ・・・ 印鑑証明書が必要になります
- 有価証券 ・・・ 上場株式の名義変更は取引している証券会社に依頼します。そのほかの有価証券は、銘柄別に指定の信託銀行や証券代行に名義変更を依頼します
- 車 ・・・ 強制保険が関係するため早めの手続きが必要です。一般的には、車の遺産分割協議書だけは単体で作成し、ディーラーに依頼して陸運局で名義変更の手続きをします
遺産相続の流れ、家族が亡くなってからまず何をしたらいいのか。|名義変更や手続き期限など
税金関係の処理
遺産相続で忘れてはいけないのが「税金」の問題です。
つまり、相続税です。相続税のほかにも所得税に関する手続きがあります。2つの税金処理を終わらせなければ相続は終わりません。
〈所得税〉
- 申告の期限は、相続(死亡した翌日)開始後から4ヶ月以内です
- 亡くなった年の1月1日から死亡の日まで申告すべき所得がある場合には、準確定申告が必要になります。還付金などの対応もありますので、専門家に相談するのが得策です
〈相続税〉
- 申告の期限は、相続(死亡した翌日)開始後から10ヶ月以内です
〈手続きの概要〉
基礎控除を超える範囲に対して相続税が発生します。相続税の控除をきちんと把握したうえで相続税を算出することになります。
配偶者に関する控除など、特に注意が必要です。所得税と同様に、専門家に依頼(相談)するのが一般的な流れと言えるでしょう。
- 相続税を申告する人・・・ 財産を相続する相続人
- 申告書の提出・・・ 申告書を作成して被相続人 管轄の税務署に届け出る
- 課税の対象・・・相続で取得した財産(評価額分)に対して相続税が発生
- 期限後の申告、または無申告の罰則・・・ 相続税の15%を加算
- 期限後の申告を自己申請した場合・・・ 相続税の5%を加算
- 脱税が発覚した場合・・・ 重加算税として相続税の35%、または40%を加算
〈手続きに必要な書類(の作成・提出)〉
- 相続税の申告書
- 税額控除の計算書
- 相続税の計算書
- 相続財産の(種類別)価額表
- 小規模宅地等に関する課税価額を計算した明細書
- 生命保険金の明細書
- 死亡退職金の明細書
- 納税猶予の適用を受ける特例農地の明細書
- 被相続人の財産に含まれる債務(借金や連帯保証など)の明細書
- 葬式費用の明細書
- 純資産価額に加算される贈与財産価額の明細書
- 農業投資価格に対する相続税を計算した明細書
※以下は相続する財産に応じて必要になる書類
スムーズに相続を終わらせるための手続き まとめ
相続は遺産分割協議に始まり「名義変更」、「税金処理」が完了するまでの流れ全部を通して遺産相続となります。
そのどれもが欠けても成立しません。ですが、初めてのことで“つい、うっかり”ミスをしてしまう人も少なくありません。
また、遺産分割を行う際は、「財産目録」も必要になります。
被相続人の財産をリストアップする作業も、葬儀が終わってから最低でも1ヶ月以内には終わらせておく必要があります。