「墓友」という他人と同じ墓に入る新しい終活のかたち

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終活の中で生まれた「墓友」

他人と一緒にお墓に入るの?

普通は親族同士で入るのが普通じゃない?と思うのが普通ですよね。

しかし最近、「墓友」という言葉がよく聞かれるようになりました。

墓友を題材にした劇団俳優座の舞台劇「七人の墓友」やTVドラマ「世にも奇妙な物語2014年春の特別編」も作られて結構話題になっています。

一般的に、一緒に墓に入る相手といえば、ご先祖様や配偶者であり子供であったのですが、近年そんなお墓事情は激変しつつあります。

墓友というのは、別に血の繋がっている相手ではありません。むしろ、たまたま知り合った赤の他人なのですが、一緒の墓に入る人を「墓友」と言います。

墓友とは?

墓友(はかとも)とは日本において見られる交友関係の一形態。死後には共同墓地などといった同じ墓に入ることを前提として付き合っている交友関係のことを言う。
近年では宗教団体に加えて企業やNPO法人などが共同墓地の運営に乗り出すようになってきており、そこで募集されている共同墓地に友達同士で共に応募をするという行動を取っている。このような墓友というのは老人同士のサークルなどで知り合った者同士という親戚ではない他人同士結成されている。
墓友となるような人には離婚をした老人や子供のいない老人や生涯未婚であるような、いわゆる孤独な老人となっている者が多い。ゆえにこれは無縁社会などという、社会の変化とともに発生している現象である

墓友とは Wikipediaより

少子化時代の影響が直撃! 消えていく先祖代々の家

そんな全くの他人が、一緒の墓に入るような風潮が出来つつあるのには理由があります。まず、大きな理由は昭和末期から続く少子化の影響です。

大昔の日本は家族を基本とする生活形態でしたが、現在は良くも悪くも個人主義が定着しています。結婚しても親とは同居せず、子供も2人かせいぜい3人、1人っ子も珍しくはありません。

晩婚化も進んでおり、そもそも生涯結婚しない(できない)男性は2割を突破しました。

そんな家族形態が何十年も続いた現在、一人っ子同士の結婚や、女しか居なかった家で娘がみんな他の家に嫁いでしまうといったケース、あるいは男女関係なく独立した子供が誰も実家の跡を継がないといった形で、先祖代々続いてきた家が次々と消滅している現状があります。

墓守がいなくなるという問題!

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盛者必衰会者定離(じょうしゃひっすいえしゃじょうり)という言葉があるとおり、栄えていた家がいずれ衰退していくのは世の常ですが、誰も本家を継がないという事は、いずれ墓の手入れをしてくれる「墓守」が居なくなることです。

本家に残された人たちは、自分の生きているうちは先祖の墓を守るけど、子供の代になったら墓はどうなるか分からないという不安があります。

また、墓の維持費も大きな経済的負担としてのしかかって来ます。

生きているうちに墓を作る終活が墓友を生み出した

現在、人生半ばを越えたいわゆる「終活世代」の人たちは、次の世代の人たちに墓守の負担を掛けないように、永代供養の形態をいろいろ模索しました。

そして、終活が活発になり生前に墓を作ってしまおうと考える人が増えてきました。

その結果、同じような境遇と悩みを持った人と同じ墓に入る共同埋葬というモノを見つけたわけです。

人口の多い団塊世代が、終活世代に突入し始めたことで、現在もビジネスチャンスを狙って色んな企業が参入しています。

そのため、終活を支援する様々なサービスが充実してきました。

その一つとして生まれたのが、子供世代に負担を掛けないという「永代供養サービス付の共同埋葬」です。

そして、生きている間に自分が入る墓を決め、一緒に同じ墓に入る人を墓友と呼ぶようになりました。

墓友とともに変わるお墓のかたち

お墓の花お墓の花 / kohrogi34

知らない人と同じ墓に入るなどというのは、10年程前までは考えられない発想でした。

「晩婚化」「少子化」「個人主義」などのキーワードを背景に、葬儀やお墓の考え方も大きく変化しています。

生前から遺言を残して「お墓や戒名は不要」という人もいますし、「お骨は海に流して欲しい」という人もいます。

価値観も多様化しており、お墓の形態もこれからいろいろと変わっていくものと思われます。

話しを「墓友」に戻すと、子供世代の負担を無くしたり、子孫が途絶えて墓守が居なくなるというリスクを考えた場合、墓友はある意味合理的な考えだと言えます。

終活というモノがなければ、知り合うこともなかったかもしれない他人同士ですが、家族の絆が希薄になった現代で、新しい人との繋がりが出来る事は案外いい事かもしれません。

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