全国のお墓が無縁仏になりつつある!「墓じまい」というお墓の最後の始末を考える

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少子化で墓を守れない!「墓じまい」、「永代供養墓」…後継者のいない人々が選んだそれぞれの選択

急速に少子化が進む日本で、意外な問題が表面化しつつあります。

少子化問題といえば、労働力の減少だとかいった“生きた人間”の問題にばかり注目が集まっていましたが、近年少子化の影響で先祖代々守ってきた墓を守る後継者が次々と居なくなっているのです。

多くのシニア世代で自分の死に方を考える「終活」が盛んになってきた今、自分の子供たちに迷惑をかけない墓の管理方法として注目されている方法が「墓じまい」と「永代供養墓」になります。

戦後の昭和期から平成初期のバブル景気の頃くらいまでは、墓といえば巨大な墓石に「○○家先祖代々之墓」と銘を彫りこんだ立派な墓石を立てることがステータスでしたが、そんな葬祭業界の風潮は一変してしまいました。

墓を撤去して仕舞うから「墓じまい」墓の維持費を後世に負担させない選択

墓じまいというのは、文字通り墓を仕舞うことです。儀式としては墓地を管理している住職が、墓に供え物をして墓から魂を抜く読経を唱えます。その後、中に納められている先祖の遺骨を取り出すわけです。

取り出された遺骨を共同葬にするか、散骨するかは依頼主の意思で決まりますが、遺骨に対して再度お経をあげれば、基本的に宗教的儀式は終了になります。

後は墓石業者が墓をクレーンなどを使って墓を解体し墓地は更地に戻るわけです。

最近では郊外の広大な霊園に新規に墓地を購入する場合、永年契約で最初払った金額以外、僅かな管理費で墓地を維持できる制度があります。

しかし、昭和期に墓を買った場合だと、菩提寺の限られた墓地内で墓を維持しつけるには、実は毎年結構な金額を納めなければならない契約が多かったりします。

そうした管理維持費を納めない場合は、区画の移動を迫られたり、最悪の場合は強制的に撤去されてしまうのです。

現在墓じまいをしている人々の多くは、子供が成人したものの、様々な事情で子供たちが実家に戻ってこない事が確定した人たちで、いわゆる「○○家、最後の当主」になります。

墓地を管理している寺や霊園に支払う管理費を子供に負担させたくないのと同時に、誰も墓守をすることなく先祖の墓が朽ちていく事も忍びないと思い、自分の意思で先祖の墓を仕舞うわけです。

墓石のリサイクル費用が問題に

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自分の子供たちの世代に余計な負担をかけないというのが、墓じまいをする大きな理由ですが、墓じまいは儀式をして墓を撤去してしまえば終わる問題はなかったことが、最近になってわかってきました。

それは撤去した墓石の始末です。

通常、墓じまいで撤去した墓石は、業者が粉々になるまで破壊し、コンクリートの材料としてリサイクルする事になっています。こうした墓石の処分費用は、墓石を砕く費用だけでも10万円ほど掛かるそうです。

ところが世の中には悪徳業者という連中が居まして、客から墓石の粉砕費用だけはしっかり取っておいて、墓石を破壊せず投棄してしまうという事件が多発しています。

瀬戸内海の無人島に何千何百という墓石が不法投棄されたというニュースをご覧になった方もいるかもしれません。

ただでさえ墓石などというモノは、超常現象のネタになるモノです。これが大量に投棄された場合、犯人を捕まえたところで投棄された墓石を撤去する費用も持っていないでしょう。

墓じまいによって生み出される大量の墓石は、今後新たな社会問題になるかもしれません。

後世に余計な負担をかけないないことと、先祖の霊を安らかに弔う方法として、墓じまいは有効な手段の一つです。

しかし、この儀式を行う場合には業者の選定は慎重にしなくてはなりません。

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