親の遺産を相続をしたくない人はチェック!財産を放棄するという権利のまとめ

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親の遺産が資産ばかりとは限らない。借金も相続の対象になる

最近は親の残した借金を相続しない「財産放棄」という手続きが増えてきています。

普通映画やドラマのイメージですと、親が死ぬと遺産相続で残された遺族が揉めるのが定番ですが、揉める内容は莫大な資産を独り占めにしようとするパターンです。

しかし現実の世界で、遺族が揉めるような資産を残す人は稀です。それどころか莫大な借金が残されてしまうケースも珍しくはなくなりました。

遺産相続というのは、死んだ人の遺産を相続人である子供や家族が引き継ぐことですが、相続するのはプラスの資産だけとは限らず、借金などのマイナスの負債も遺産相続の対象になるわけです。

親の借金から逃れる方法は「財産放棄」

「終活」などという言葉が流行っている昨今、高齢者の間では自分が死んだときに、無駄な揉め事が起きないように自分の遺産の処理の仕方まで生前にしっかり遺言を書いて指示している人もいます。

しかし、みんながみんなそこまでしっかりした遺言を残しているわけではありません。

そんな場合、個人の遺産は残された相続人たちが、遺品などを整理してハッキリさせるのですが、遺産を調べた結果、負債…つまり借金の方が多かったという事もあるわけです。

自分の生活だけでも一杯一杯なのに、その上親の残した借金までは背負えないと思う人もいるでしょう。

日本の法律では、親の遺産を相続する権利があると同時に、相続しない権利も認められており、これを「相続放棄」と言います。

相続放棄をする事で、親の遺産の相続権が一切なくなりますので、借金を相続しなくてもいいわけです。

相続放棄はどうやってする?そのメリットとデメリットは?

相続放棄は、被相続人(親など)が死んだことを知ってから3ヶ月以内に、被相続人が住んでいた場所を所轄する家庭裁判所へ申請します。申請書類は原則的に

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の住民票の除票
  • 戸籍謄本

になりますが、場合によっては裁判所から追加書類を要求されることもあるようです。
その他経費として印紙代や郵便費などが掛かりますが、2000円もあればお釣りがくるレベルの話ですので、大した金額ではありません。

その手続きだけで、法的にはもともと相続人ではなかったという立場になれますので、財産放棄のメリットは借金を一切相続する必要がなくなる、という点でしょう。

そしてデメリットは、相続人であることを辞めたのですから、資産の部分も一切相続できなくなるということです。

「借金は相続しないけど、銀行の預金は相続する」といった虫の良い話は流石に通用しません。遺産放棄というのはプラスの財産もマイナスの財産も、すべて引き継がないことを宣言する行為なのです。

財産放棄のタイムリミット。法律を上手く使うテクニック

財産放棄にはタイムリミットがあります。それは相続人自身が被相続人の死を知ってから3ヶ月以内に財産放棄の手続きをしなければいけないという事です。

この法律を逆手にとって悪質な金融業者などは、被相続人が死んでからわざと3ヶ月待って、相続人の元へ借金の催促に現れたりします。

こうした手口に対抗するには、被相続人が死んでからいち早く遺産の内訳を正確に把握して、借金の方が多いとわかったらすぐに財産放棄するのがベストな対策でしょう。

またこの法律のミソは相続人自身が被相続人の死を知ってから3ヶ月以内という点です。被相続人と同居していれば、被相続人が死んだ事はほぼリアルタイムでわかります。しかし、被相続人と疎遠になっている場合、被相続人の死を1年とか3年経ってから初めて知ったということもあります。

その時には、被相続人の死を知ってから3ヶ月ですので、初めて聞かされた時から3ヶ月以内に財産放棄をすれば問題ないわけです。

まとめ

こうした事例を紹介するのは、実際に被相続人が多額の借金を残した場合、被相続人の身近にいた相続人は次々と財産放棄をします。

ところが遺産は血縁的に相続人になり得る人物へと、まるでトランプのババ抜きのように回っていきますので、まるっきり疎遠だった相続人の元へ、ある日突然借金取りが現れたりすることもあるわけです。

もちろん、親が残した借金だから子である自分が返済しようという姿勢は立派な選択です。

しかし、借金取りが来て、初めて被相続人の死を知った場合、相続放棄をする権利がまだあるという事を思い出して下さい。

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