暦年贈与の贈与税率構造見直しで、相続税が安くなる可能性があります。

平成25年度税制改正では、生前贈与の方法である暦年贈与に対する贈与税の課税方法に新しい制度が創設されるなど、税率の構造に変化があります。

まず知っておきたいことは、現在、高所得者の相続税は増税の傾向にあり、平成25年度税制改正においても、平成27年以降に発生する相続について、基礎控除の縮小や相続財産が2億円超の場合の税率アップなどが行われています。

そして、贈与税は相続税の課税逃れを防ぐ性格を持ちますので、それに伴い贈与税の税率も一部アップしている部分があります。

親から子、祖父母から孫への贈与は優遇

多くの人にとって重要なことは、贈与税制度の新しい潮流である世代間の財産移転を後押しする新制度の創設です。平成27年以降に行われる贈与について、20歳以上の者が両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた財産にかかる贈与税を、ほかの贈与と区別した新制度が創設されているのです。

贈与税額は、贈与を受けた人ごとに計算します。1年分の贈与額に基礎控除額である110万円を差し引いた課税標準に税率を掛け、その額から課税標準の区割りごとに決まる控除額を差し引いた金額となります。

現行と改正後の贈与税の税率構造について

■現行
課税標準 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超 50% 225万円
4,500万円以下
4,500万円超
■改正後
税率 控除額
10% -
15% 10万円
20% 25万円
30% 65万円
40% 125万円
45% 175万円
50% 250万円
55% 400万円
■直系専属から20歳以上の者への贈与
税率 控除額
10% -
15% 10万円
20% 30万円
30% 90万円
40% 190万円
45% 265万円
50% 415万円
55% 640万円

贈与税はどれだけ減るの?

例えば、現行、親から子へ1,000万円の贈与をした場合について考えると、課税標準は1,000万から110万円を引いた890万円ですので税率は40%になります。

(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円

これが、改正後には

(1,000万円-110万円)×40%-190万円=166万円

となり、控除額が大きくなったことにより減税効果があることがわかります。

税率の区割り変更によるメリット

税率についてはあまり変わっていませんが、高所得者の税率が上がったことに伴い55%の贈与税率が創設されるなど、実質は増税された部分もあります。

そして、課税標準1,000万円以上の贈与については、区割りが細かくなっていることが注目されます。従来50%の税率となっていた1,000万円超、4,500万円未満の区分について、税率が45%と下がっています。

例えば、現行、親から子へ4,000万円の贈与をした場合、

(4,000万円-110万円)×50%-125万円=1720万円

これが、改正後には

(4,000万円-110万円)×45%-125万円=1,485万5,000円

と、234万5,000円の減税になっています。

直系尊属から20歳以上の者への贈与については、約8,300万円を超える贈与を行わない限り贈与税が現行よりも増えることはありません。相続による財産の移転と、暦年贈与により毎年財産の一部を移転し続ける方法については、どちらがよいかを選択する際は税額の他にも様々な判断材料があります。

個別の財産内容や、財産移転の目的によって最適な方法が変わってくるため、税理士等の専門家を交え、ケーススタディを積み重ねながら検討することをお薦めします。

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